宮城藤さん カジマヤー祝う トゥクトゥクで盛大パレード 国頭・辺土名 沖縄
【国頭】4月29日の誕生日に96歳を迎えた宮城藤さん=国頭村辺土名。この日、数え年で97歳の生年を祝うカジマヤーユーエー(風車祝い)が自宅で行われた。家族や親戚に囲まれ、多くの地域の人が祝いに訪れにぎわった。
カジマヤー(風車祝い)パレードで地域の人々から歓迎を受ける宮城藤さん
午前11時から、飾り付けされたトゥクトゥクに乗り、地元の辺土名集落から近隣の桃原、鏡地、奥間、辺土名を約50分間パレードした。沿道には多くの人々が繰り出し、要所では待ちわびた人々に風車を配ったり、握手を交わしたりした。周囲もカチャーシーで歓迎した。終盤の辺土名大通り(通称サンカクマー)で、多くの人々から熱烈な歓迎を受け、盛り上がりは最高潮に達した。
自宅では、藤さんは祝いに訪れた地域の一人一人と言葉を交わしていた。浜区で三線教室を開く宮城幸子さんと友人の櫻木奈緒さん=読谷村=が出演し、唄・三線による「かぎやで風」で幕開けした。「安里屋ユンタ」「恋し鏡地」なども披露され、最後は「唐船ドーイ」のカチャーシーで会場が一体となった。
長女の新崎浩子さん(74)=浦添市=が、藤さんの生い立ちからこれまでを振り返り、祝いへのお礼を述べた。長男の宮城修さん(72)=西原町=は「家族や親戚、地域の人々が協力してお祝いできたことに心から感謝する」と伝えた。藤さんも「みんなにお祝いしてもらいとても感激だ。ありがとう」と声を詰まらせた。
藤さんは、26年前に他界した夫の太助さん(与那国出身)との間に1男2女を授かり、孫9人、ひ孫9人の家族構成。長年太助さんと法事の重箱料理を自宅の隣で販売、夫亡き後は約15年間1人で商売を切り盛りしてきた。商売を含め人望が厚く、その愛らしい笑顔と共に人々から親しまれている。
11年前に、太助屋から「合同会社ふじや食品」に店名を変更し、次女の和美さん(64)と、その夫の隆利さん(70)が商売を引き継ぎ、商品の一部を孫が引き継ぎ3代に渡って商売繁盛している。現在一人暮らしだが、日々和美さん夫婦や孫夫婦が様子を見ている。和美さんは、健康維持も兼ねて重箱や弁当に入れる昆布結びやショウガの皮むき作業などを藤さんに手伝ってもらっているという。
今回、祝儀返礼品の中には、当店の人気品物の一つで3年前に長男の玉村信太さん、由梨さん夫婦が製造・販売を引き継いだ「クンジャンナントゥ」と、この日のために藤さんが編んだ100枚の「何でも自由お使いくださいと」表記された編み物が添えられ、来場者を喜ばせた。
藤さんの長生きの秘訣(ひけつ)は、自分で料理しておいしく楽しく食べること。30歳の頃から現在まで日記を書き続けていること。大好きな編み物を続けていること。お店の手伝いを続けていることであるという。
(新城高仁通信員)
北部
琉球新報 2025-05-13 [
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