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カンムリワシなど野生動物の救護に尽力 沖縄こどもの国の元獣医師金城さん 

 【浦添】交通事故に遭ったカンムリワシ、鳥もちにかかったイソヒヨドリなど、傷ついた野生動物の救護活動に尽力し、獣医師として沖縄こどもの国に33年間勤務した金城輝雄さん(61)=浦添市=が、2025年度野生生物保護功労者表彰で、日本鳥類保護連盟会長賞を受賞した。「救護される原因のほとんどは人間の活動。人間が原因で傷ついた動物や自然環境に対し、責任を果たす必要がある」と説く。
 那覇市首里出身。幼い頃から「チャバネゴキブリ以外、生物は全部好き」だった。中学時代、元プロボクサー・具志堅用高さんの活躍を目の当たりにし、大ファンに。具志堅さんの愛称からカンムリワシの存在を知った。北海道の酪農学園大で学び、1991年に沖縄こどもの国に就職した。
国の特別天然記念物のカンムリワシ=2020年3月、西表島上原
 こどもの国には、傷ついたさまざまな野生動物が運び込まれてきた。治療を尽くし、可能な限り野生に復帰させた。帰せない個体も飼い続け、飼育や展示、人工繁殖技術の確立に貢献。大学などとの共同研究で科学的な知見も深めた。
 傷病動物のほとんどが、開発や交通事故など人間の活動によって負傷している。当時は珍しい、野生復帰できない個体の展示を積極的に行った。「来園者に救護の背景を伝え、どうすればよいか考えてもらいたかった」と話す。
 24年3月にこどもの国を退職後は、琉球野生動物救護保全センターを立ち上げ、野生生物の保全活動を続けている。県内の課題が山積する中、最も思い入れのある動物は「長年関わってきたが、十分な理解がされず課題解決ができていない」というカンムリワシ。「今後は本当のカンムリワシの姿を伝え、それに見合った環境利用の方法を考えていけるようにしたい」と思い描いた。
(前森智香子)


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琉球新報 2025-05-16 [Edit / 編集]

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