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鳴門教育大名誉教授、阿波踊りの起源を検証する本を出版

 諸説ある阿波踊りの起源について検証した「徳島城下の盆踊り~阿波踊りの歴史を訪ねて~」を、鳴門教育大学の高橋啓(はじめ)名誉教授(日本近世史)が出版した。
 阿波踊りの起源は、研究者や愛好家らから主に三つの説が示されてきたという。
 広く知られるのが、安土桃山時代の1587(天正15)年に蜂須賀家政が徳島城を築城した際、その祝賀行事として始まったとする築城起源説。だが、高橋名誉教授によると、この説を裏付ける古文書などは存在せず、多くの研究者から、明治以降に観光客向けに広まった俗説だとされているという。
 ほかに、中世末期に阿波を支配していた三好氏が、居城の勝瑞城(徳島県藍住町)で大々的に催した風流踊りや、江戸時代に徳島城下で行われた盆踊りを由来とする2説が提唱されてきた。
 高橋名誉教授は、徳島藩主の蜂須賀家に代々伝わってきた文書や、近年見つかった江戸時代の踊りに関する古文書など膨大な文献を調査。その結果、阿波踊りのルーツは徳島城下の盆踊りとしつつ、踊りの様式には、派手な衣装や演出を用いた中世の風流踊りの特徴が色濃く残されていた、と著書で指摘した。
 巻末には、引用した文献を紹介した「史料編」も掲載している。
 高橋名誉教授は「今までは阿波踊りの起源について、風流踊り説と盆踊り説とに分けて考えられてきたが、複眼的な見方が必要になってきた」と指摘。「現代の阿波踊りは観光面が重視されているようにみえる。死者を供養する盆踊りとして始まった阿波踊りのバックボーンを見つめ直し、今後の研究を深める手がかりになれば」と話す。
 書籍はA5判、238ページ。徳島県内の主な書店で販売。発行は協業組合徳島印刷センターで、定価は税込み2200円。

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徳島:朝日新聞デジタル 2025-05-17 [Edit / 編集]

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