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恐怖…人質になった女性2人、日常生活を送れず 大きな音に敏感、PTSDになり厳しい処罰を望む 人に発砲していた男、法廷で殺意について「そんな気持ちは一切ない」

 2023年10月、蕨市の郵便局で局員2人を人質に立てこもるなどして、殺人未遂や監禁致傷などの罪に問われた無職の男(88)の裁判員裁判の初公判が26日、さいたま地裁(佐伯恒治裁判長)で開かれた。男は殺意について「そんな気持ちは一切ない」と述べ、起訴内容を一部否認した。判決は6月4日に言い渡される。
 検察側は冒頭陳述で、男が事件の前年に郵便局や病院とのトラブルがあったとして「報復しようと考えていた」と指摘。「犯行態様の危険性や犯行の計画性など、酌むべき事情もない」と述べた。
 一方、弁護側は発砲した理由を驚かそうとしたり、威嚇するためだったとし、「殺意はなかった」と主張した。
 検察側は証拠調べで、被告が約3カ月前から準備し始め、ポリタンクやガスボンベ、ガソリンを用意し、レンタカーを借りたと説明。立てこもりの被害女性2人は大きな物音に敏感になり、日常生活が送れなくなったことから厳しい処罰を望んでいるとした。
 88歳になる男は車いすに乗り、黒いジャージー姿で出廷。うつむきながら名前を小さな声で答えた。開廷中は終始落ち着いた様子で検察や弁護人の主張を聞いていた。
 起訴状などによると、男は23年10月31日、戸田市のアパートの自室に火を付け、一部を焼損。その後、同市の病院に向けて発砲し、診察中だった医師と患者にいずれも約3週間のけがを負わせた。さらに蕨市の郵便局で付近にいた警察官に対して発砲。郵便局で局員2人を監禁し、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負わせたとされる。
 男は立てこもりから約8時間後の午後10時20分ごろ、突入した県警捜査員らに確保され、逮捕された。
 

埼玉新聞 2025-05-27 [Edit / 編集]

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