さいたま市長選を解説 得票減も全区で1位
さいたま市長選は現職の清水勇人氏が、次点の沢田良氏に8万57票の大差をつけて5選を果たした。一騎打ちとなり、過去最多の21万6768票を獲得した4年前と比べ、5人が立候補した今回、清水氏が獲得したのは17万7217票。得票率は過去最高だった前回の71・50%から45・61%にとどまったものの、2017、21年に続き3回連続で市内10区全てで1位の票数だった。現職の高い知名度を生かしたといえる。
区別で見ると、清水氏の得票率で最も高いのが岩槻区の57・84%、地元の見沼区が56・98%で続く。岩槻区では争点の一つになっていた地下鉄7号線延伸事業が採算性の再検討で現実味を帯び、清水氏への期待が一定程度反映されたとみられる。
一方、投票率が前回より7・08ポイント上がり、投票総数が約8万5千票増えた中、得票は4万票弱減らした。敗れた沢田氏や西内聡雄氏、小袋成彬氏の得票数の合計は清水氏の票を超え、加川義光氏の票を加えると批判票は過半数を占めた。
清水氏は当選後、支持者らの前で「選挙期間中は激励の言葉だけではなく、厳しい声や要望を頂くこともあった。しっかりと受け止め、一人一人の声を大切に次の時代へ第一歩を踏み出したい」と、より丁寧な市政運営に努めることを約束した。
沢田氏は9万7160票を獲得して善戦した。10区いずれも2位の票数だったが、地元の南区では清水氏に1488票差まで肉薄。市民税72億円の減税という明確なビジョンを前面に押し出し、頻繁に動画をアップするなど、交流サイト(SNS)にも力を入れたことで、政策や主張がある程度、浸透したといえる。
西内氏も5万5395票で3位と健闘した。立候補表明は最も遅かったが、外国人生活保護即時廃止を主に訴え、街頭演説やSNSを通じて知れ渡ったとみられる。
小袋氏は音楽をかけて対談する独自の形で戦ったが票を上積みできなかった。共産の加川氏は直前に出馬が決まったこともあり、低調だった。
埼玉新聞 2025-05-27 [
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