富山地方鉄道、6年連続の赤字 鉄道部門の赤字重く
富山地方鉄道(富山市)は29日、2024年度の決算を発表した。鉄道の利用客数がコロナ前の水準に戻っていないことや、安全対策費のコスト増などが影響し、「営業損益」は4億2545万円の赤字となった。赤字は6期連続。赤字幅は、23年度の9億8741万円より縮小したが、中田邦彦社長は「鉄道部門の赤字が大きい。収支改善に努めているが、依然、事業環境は厳しい」と話した。
発表によると、輸送人員は、鉄道が533万4千人(前年度比3%増)、軌道(路面電車)が772万5千人(同6%増)だった。軌道についてはコロナ前の18年度より増えているが、鉄道は人口減少、少子化、在宅勤務の定着などで9割程度にとどまっている。損益でみると、軌道部門、バス(乗り合い、高速、貸し切り)などの自動車部門は黒字だったが、鉄道部門だけが8億3892万円の赤字を計上。中田社長は「鉄道の乗客はコロナ前に届かず、もう少し回復してほしい。鉄道は線路の維持管理、安全対策に多額の費用がかかる」と述べた。
一方で、国や県、沿線自治体からの補助金、土地の売却益などにより、純損益は1億5724万円の黒字を確保した。
富山地方鉄道の経営をめぐっては、鉄道部門の業績悪化を受け、富山市や魚津市など沿線7自治体のトップが集まって「あり方検討会」をつくり、支援策や将来像を協議している。住民の生活の足、観光地へのアクセスとして不可欠なインフラと存続を訴える声もある。しかし、この日の会見で中田社長は「不採算路線の対応を含め、検討会には早めに結論を出してほしい」と述べた。
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富山:朝日新聞デジタル 2025-05-31 [
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