ちっちぇえ! 世界最小級ハッチョウトンボを観察 岡山・総社の湿地
貴重な動植物の生息地として保全されている岡山県総社市のヒイゴ池湿地で2日、総社北小学校の6年生25人が日本最小のトンボ「ハッチョウトンボ」を観察した。
ハッチョウトンボは体長約20ミリと1円玉サイズで、トンボとしては世界最小級。オスは成熟すると目まで全身真っ赤になる。日当たりのよい湿地を好むが、生息地が年々失われ、県のレッドデータブックで準絶滅危惧指定されている。
子どもたちは「北の吉備路保全協会」の萱原潤さん(72)や市環境課職員らの案内で湿地内を回り、水辺に生えた食虫植物のモウセンゴケや咲き始めたばかりのトキソウの花を観察。水場で目を凝らして草むらからハッチョウトンボを見つけ、「ちっちぇえ!」と歓声を上げた。
ハッチョウトンボなど多くの種が群生していたヒイゴ池湿地は元々2.5ヘクタールほどあったが、1993年に岡山自動車道の予定地になった。湿地を遊び場として育った萱原さんらから相談を受けた自然保護団体「高梁川流域の水と緑をまもる会」会長の重井博医師は、湿地の保全を日本道路公団(当時)に申し入れた。重井医師は倉敷市で創立した病院に昆虫館を併設して、昆虫や植物の研究に打ち込み、とりわけトンボを愛していた。
再三の協議を経て、道路の設計変更などにより約0.9ヘクタールが保存された。湿地には現在、植物400種以上、動物800種以上が生息し、トンボは約40種を数える。病気を押して交渉の先頭に立った重井医師は96年、保存湿地の完成を見ることなく72歳で亡くなった。
萱原さんは子どもらに「こんな狭い場所にこれだけの生きものがいる場所はそうない。自分たちの校区にこんな湿地があることを自慢に思ってください」と語りかけた。
ハッチョウトンボの発生は6月がピークで、8月中旬まで観察できるという。
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岡山:朝日新聞デジタル 2025-06-03 [
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