安土城廃城からの変遷をたどる 近江八幡で特別展「信長の夢のあと」
滋賀県近江八幡市安土町下豊浦の県立安土城考古博物館で、春季特別展「安土城・2025 信長の夢のあと」が開かれている。来年で築城開始から450年の安土城を歴史的に捉えるという原点に立ち戻り、廃城以降の変遷を紹介している。
安土城は織田信長が1576(天正4)年に築城を始め、約3年後には天主周辺の主郭部をいったん完成させた。だが、82(天正10)年に起きた本能寺の変の直後、明智光秀の軍勢に占拠され、まもなく主郭部が焼失した。
特別展は昭和から令和にかけての発掘調査で出土した遺物と古文書などの資料を軸に、約500点を展示している。
出土遺物のうち、信長の威勢がうかがえる金箔(きんぱく)瓦は表面の風化がほとんど進んでおらず、きらびやかな金をはっきりと見ることができる。築城当時、主郭部の建物群に運ぶ際に破損し、道端に捨てられたとみられる。
古文書では、国重要文化財の「八幡山下町中掟書(おきてがき)」に注目。信長の死後、安土城の近くで八幡山城を築いた羽柴秀次が城下町に出した文書で、人や物を安土から八幡に移す目的もあった。商船が八幡浦に寄港するよう命じ、近隣の市を八幡に移転させる内容を含む。
佐藤佑樹学芸員は「安土城と言えば信長が生きていたころの時代にスポットが当てられることが多いが、信長の死後も、その時々の人々の努力で整備や管理がされてきた。史料や、昭和から令和にかけての発掘調査などで明らかになった事実を知っていただきたい」と話している。
特別展は15日まで。9日休館。入館料は大人970円、大学生700円、小中高生420円、県内在住の65歳以上510円。問い合わせは県立安土城考古博物館(0748・46・2424)。
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滋賀:朝日新聞デジタル 2025-06-04 [
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