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直島に労務動員された朝鮮人らの慰霊祭 戦後80年で元高校教員企画

 第2次世界大戦中、朝鮮半島から多くの人たちが労務動員された香川県直島町の三菱鉱業(現三菱マテリアル)直島製錬所で亡くなった人らを追悼する慰霊祭を4日、市民有志が開いた。製錬所で朝鮮人が働いた歴史を調べた元高校教員の浄土卓也さん(86)=高松市=が、戦後80年の節目にあわせて呼びかけた。
 朝鮮人の墓と伝わる木標がかつて立っていた同町宮ノ浦の共同墓地に10人が集まり、臨時につくった祭壇の前で祈りを捧げ、焼香した。浄土さんと長年親交のある称讃寺(高松市)の瑞田(たまだ)信弘住職(69)が読経を務めた。
 浄土さんは、日本の植民地だった朝鮮から労働者を連れてくる役割を担った製錬所元社員の日誌をもとに、「朝鮮人の強制連行と徴用 香川県・三菱直島製錬所と軍事施設」を1992年に刊行した。その際、製錬所で働いたのは少なくとも620人と判明。「その後も、彼らの消息を示す資料は見つかっていないが、帰国前後に命を落とした人もいたはず」と慰霊祭を計画したという。
 浄土さんの歩みを記録映画にしようと撮影を続けている在日コリアン2世の映像作家、金稔万さん(65)=兵庫県尼崎市=らが協力した。参加者は、三菱マテリアルが毎年、労災事故で亡くなった人たちの慰霊式をしている島内の極楽寺も訪れた。
 浄土さんは「思いに共感してくれた人が一緒に来てくれてありがたい。忘れられかけていた歴史がつながり、ホッとしました」と話していた。

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香川:朝日新聞デジタル 2025-06-05 [Edit / 編集]

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