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音声ガイド付きで作品をより深く 島根の映画館がアニメ作品を上映

 映像作品の視覚情報を声で伝える音声ガイド付きの短編アニメーションの上映が5月25日、島根県益田市あけぼの東町の映画館「小野沢シネマ」であった。視覚障害者向けの補助ツールとして使われてきた音声ガイドだが、作品を深く理解する新たな鑑賞方法として観客に好評だった。
 島根県芸術文化センター「グラントワ」による、障害の有無に関わらず表現や芸術に触れて参加できることをめざす事業の一環。今回は約70人の観客を迎え、江戸川乱歩の小説「押絵と旅する男」をアニメ化した9分間の作品「押絵ト旅スル男」を上映した。ガイド用音声の台本は、小野沢シネマを営む和田浩章さん(35)が書き下ろした。
 スクリーンに登場人物名とセリフを文字で表示するとともに、スピーカーからは登場人物の表情や動きをナレーションする音声ガイドが流れた。ナレーションを務めたのは、アニメ「幽☆遊☆白書」の幽助や「AKIRA」の鉄雄などを演じた声優の佐々木望さんだ。
 上映後には2人のトークショーもあった。和田さんは「完成作品に原稿を加えるため、作品に合う言葉を丁寧に取捨選択した」。佐々木さんは「作品の邪魔にはならないよう声の出し方やテンポに注意した」と話した。
 佐々木さんはまた、「音声ガイド」という言葉自体に疑問を投げかけ、「(ガイドは)上から目線のよう。『音声描写』の方が望ましい」とした。
 鑑賞した益田市の斎藤千恵理さん(42)は「最初は情報が多く追いきれなかったが、見ているうちに理解しやすくなった」。同館では今後、音声ガイド付き映画の上映も予定している。

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島根:朝日新聞デジタル 2025-06-05 [Edit / 編集]

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