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居場所を提供、社会復帰後押し 丸亀に「高次脳機能障害対応」作業所

 交通事故や病気などで脳を損傷し、記憶力や注意力などが低下した「高次脳機能障害」を抱えた人たちを支援する作業所が5月、香川県丸亀市にできた。周囲の無理解から家に閉じこもりがちになっている人らに居場所を提供し、社会復帰を後押ししている。
 丸亀市飯山町の山あいにある就労継続支援B型作業所「フラッグ」(0877・43・3388)。周囲には田畑が点在し、2階に設けられたテラス席からは讃岐富士と呼ばれる飯野山を眺められる。
 利用者は高次脳機能障害のために、企業などで働くことが難しくなった人ら。地元名産の桃の収穫・販売やペット用のリボン制作といった軽作業に取り組み、就労に向けた訓練を重ねていく。
 「病院の中だけの支援には限界があった」。代表理事の吉田俊二さん(40)は開設した理由をこう話す。
 高次脳機能障害を抱えると、物忘れをしやすくなったり、複数のことを同時にしようとして混乱したりする。ただ、見た目では症状が分かりにくいことから「見えにくい障害」と呼ばれる。
 吉田さんは県内の病院などで11年間、作業療法士としてリハビリ支援に携わってきた。職場に迷惑をかけないようにと無理して退院する人や、周囲の無理解から孤立し、引きこもりになる人がいた。「高次脳機能障害は、高齢者の問題などに比べて社会的な認知度が低く、支援の選択肢も少ない」と痛感したという。
 フラッグの目標は、就労に向けて「小さな成功体験」を積み重ねることに加えて、周囲に理解者を増やし、頼れる関係を作ることだ。
 「生きづらさに悩む人らに気持ちよく働ける環境を提供し、同じ悩みを相談し合える病院の待合室のような存在にしたい」と吉田さんは話す。
 県障害福祉課によると、高次脳機能障害を抱える人やその家族への支援件数は2019年度に644件だったが、23年度は1021件。県内では専門的な支援拠点が限られており、十分な支援ができていないのが現状という。

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香川:朝日新聞デジタル 2025-06-07 [Edit / 編集]

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