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ハンセン病追悼の日、歴史学んで 図書館でパネル展 岡山・瀬戸内

 ハンセン病や強制隔離政策を学ぶ機会に――。岡山県瀬戸内市とハンセン病の国立療養所「邑久光明園」(同市)は10日から、同市邑久町尾張の市民図書館で啓発パネル展を開く。光明園がある長島には、もう一つの療養所「長島愛生園」もあり、市は今年初めて、両園の歴史やハンセン病問題をテーマにした動画を作り、パネル展でも紹介する。
 国の「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」(6月22日)に合わせた取り組み。光明園を舞台にした漫画「麦ばあの島」(全4巻)の場面を使ってハンセン病問題を解説したパネルや、全国13の療養所を示した地図などを展示する。室戸台風によって200人近い死者を出した「外島保養院」(大阪)を前身とする光明園の歴史が書かれた本など関連書籍も集める。
 瀬戸内市が制作した動画は約26分半。児童生徒向け教材として念頭に置いていたが、ハンセン病問題を広く知ってもらう入り口にしようと、市はYouTube(Thumbnailhttps://www.youtube.com/watch?v=AWeinRr_KvQ)で公開している。両園の歩みや入所者の暮らし、隔離・人権侵害の実態に加え、対岸の住民インタビューも収められ、偏見の影響が広がっていた実態を紹介している。
 市はパネル展に触れて、長島を訪れるきっかけにしてもらい考えだ。市ダイバーシティ推進室の田中綾乃主事は「書物や映像だけではわからない空気感を感じ取れる。島に足を運び、数十年前に隔離政策があったという知識と結びつけてもらえれば」と期待を寄せる。
 光明園の担当者も「誤った隔離政策の歴史と、ハンセン病問題を正しく理解してもらう機会」と話す。
 パネル展は22日までの午前10時~午後6時(木・金曜日のみ午後7時)。16日休館。問い合わせは市ダイバーシティ推進室(0869・22・3922)へ。
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 「追悼の日」(22日)に合わせ、岡山市北区表町3丁目の「詩人永瀬清子とハンセン病文学の読書室」でも催しが企画されている。22日午後2時からは長島愛生園の入所者自治会長、中尾伸治さん(90)が「長島で80年、今 思うこと」と題して講演する。
 ほかにも、愛生園入所者が制作した油彩画や短文芸など約70点を集めた作品展(22日までの午前10時~午後5時、月・火曜日を除く)▽長島愛生園歴史館の田村朋久学芸員の講演「長島愛生園の人びと」(7日)▽現代詩朗読会「永瀬清子の世界」(8日)▽NPO法人ハンセン病療養所世界遺産登録推進協議会の原憲一副理事長の講演「ハンセン病 差別の千年」(15日)が、いずれも午後2時からある。
 入場無料。問い合わせは主催のRSK山陽放送(086・225・5531)へ。

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岡山:朝日新聞デジタル 2025-06-07 [Edit / 編集]

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