「本気ですよ」熱帯びる館長のトップセールス 万博会場の熾烈な競争
夢洲から 大阪・関西万博のメディアセンターに、クロアチア館のエドワード・片山・トゥリプコビッチ館長(49)が「アポイントなし」でやって来た。
各館の委託先のPR会社が催しのアピールに来ることはあるが、トップセールスは驚きだ。
記者たちに「あまり取材してくれないので、売り込みに来ました!」ときっぱり。「目立つのは難しい」とも言う。
確かに、会場での来場者の獲得競争は熾烈(しれつ)だ。企業や約160の国・地域が出展し、参加国などが自ら建てたパビリオンは巨大で目を引く。
クロアチアも自ら建てる予定だったが、2020年に地震で大きな被害が出たため、費用をかけられずに断念。複数の国での共同出展となった。
展示を見に行くと、天井からビニール製の無数のチューブが垂れ下がっていた。実は長さ13キロの1本のチューブだといい、中に水が流れている。
クロアチアの観測所から刻々と届く気温のデータを元にその水温を調整し、室温も変える。五つのゾーンが5地域の「今の気温」になっており、クロアチアの自然の多様性を学べるという。来場者の体温を示すサーモグラフィーの画像もある。
クロアチアをまさに「肌で」感じられる仕掛け。来場者数は伸び悩むが、館長は「知識だけではなく体験が売り」と自信を持つ。毎日のように入り口に立ち、訪れた人に館内の仕組みやクロアチアの魅力を語る。
「大好きなクロアチアと日本のために本気ですよ」。その姿はいつも、熱を帯びている。
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世界中の人々が集まり、連日多彩なイベントが開かれる大阪・関西万博。会場の夢洲(ゆめしま)で取材に駆け回る記者たちが、日々のできごとや感じた悲喜こもごもを伝えます。
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大阪:朝日新聞デジタル 2025-06-10 [
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