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石見神楽、55年ぶりの万博舞台へ 19・20日、大蛇55体で表現

 島根県西部の石見地方で盛んな石見神楽の公演が、大阪・関西万博の会場(大阪市此花区)で19、20日に開かれる。石見神楽は1970年の大阪万博でも公演されており、島根県浜田市の神楽団(社中)で活動する約150人が55年ぶりの大舞台で壮大な舞を披露する。
 5月中旬の夜、浜田市上府町の屋内スケート場であった舞の合同練習に約100人が集まり、直径18メートルの円内でそれぞれの立ち位置を確かめていた。万博での公演会場となるEXPOホールは、1900席の客席が直径18メートルの円形ステージを囲む。その舞台を想定し、55体の長い胴体の大蛇(オロチ)を巧みに操る練習の一幕だ。
 石見神楽は、五穀豊穣(ほうじょう)などを祈って舞を奉納する神事。今回の演目「大蛇」では、55年の時を経た万博の舞台であることから、55体の大蛇で八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を表現。笛や太鼓、おはやしに合わせ、とぐろを巻いて駆け回るヤマタノオロチを須佐之男命(スサノオノミコト)が剣を手に退治する。
 石見神楽が国内外に知られるきっかけになったのは、55年前の大阪万博だ。浜田市の三つの社中が出演。上府社中の岩川清さん(74)は「照明がともると、つるされた大蛇が竜のように浮かび大歓声を浴びた」と当時を振り返る。
 浜田市の社中数は現在50を超え、それぞれ所作や調子は様々だ。合同練習では統一感を高めるのも狙いで、演出を担当する佐野神楽社中の深ケ迫優太さん(34)は「それぞれプライドを持って競い合ってきた社中が一堂に会する。力を合わせたパフォーマンスを繰り広げたい」と意気込む。
 長澤社中の永見監さん(54)は、剣を振りかざすスサノオノミコトに抜擢(ばってき)された。「社中の枠を超えた交流を生み出し、息の合った演技をしたい」。スサノオノミコトが大蛇の首を切り続け、最後まで残る大蛇を担う後野神楽社中の鬼城忠明さん(37)は「最後まで激しい、リアルな動きを見せたい」と話す。
 演目は、19日は午後6時から「神迎(かんむかえ)」。20日は午前10時半から「大江山」、午後2時から「恵比須」。同6時からの「大蛇」でフィナーレを飾る。

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島根:朝日新聞デジタル 2025-06-11 [Edit / 編集]

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