> 高知県

小社会 マスを埋める

 米大リーグ、大谷翔平選手が岩手・花巻東高校1年の冬に書いた「目標達成シート」がひと頃、話題になった。最終目標の「ドラフト1位、8球団」を真ん中に。その達成に必要な「中目標」を八つ、周りに書き込んでいる。
 さらにそれぞれの中目標の周りに、達成に必要な行動を八つずつ書いてマスを埋めた。例えば、球速「160キロ」。必要な行動は体幹強化、肩周りの強化、体重増加、軸で回る―。
 面白いのは中目標の「運」だろうか。それを手にするための努力は「あいさつ」「ゴミ拾い」「審判さんへの態度」…。野球に誠実な大谷選手のことだ。この曼荼羅(まんだら)のようなチャートに全て実直に取り組んできたに違いない。
 参院選が近づき、与野党の公約がちらほら見えてきた。与党は物価高対策で1人数万円の給付案が出ている。4月の世論調査では、「選挙目当てのばらまき」と世間に見抜かれて不評。いったんは断念したのに、やはり国民にはばらまきが効果あり、と踏んだのか。
 石破首相は、15年後に平均所得を5割以上増やすという公約の検討も指示したとか。野党の側も消費税率の引き下げなどを掲げている。物価高への効果、財源の裏付け、長期的な経済の見通し。聞こえがいい公約だけではなく、それを組み立てる一つ一つの「マス」に説得力を持つ政党が支持されてほしいものだ。
 マスは埋まっているか。選挙に向けては有権者の眼力も試される。

高知新聞 2025-06-13 [Edit / 編集]

削除Pass(任意、英数字4~12文字) [Confirm/確認]
No. 削除PassかIPアドレスのどちらかが合致すれば削除出来ます
削除Pass(任意)