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県庁トイレに生理用品配置へ 三重県議会、一般質問で知事

【(右から)山内道明議員、吉田紋華議員、荊原広樹議員、山崎博議員、中瀬古初美議員】

県議会6月定例月会議は12日、山内道明(公明党、3期、四日市市選出)、吉田紋華(共産党、1期、津市)、荊原広樹(新政みえ、1期、名張市)、山崎博(自民党、2期、四日市市)、中瀬古初美(新政みえ、3期、松阪市)の5議員が一般質問した。一見勝之知事は県庁のトイレに生理用品を配置する考えを示した。「仮に多くの人が持っていっても、優しい三重県人なら是とすると思う」と述べた。吉田議員への答弁。
フェーズフリー広めて 山内 道明議員(公明党)
【山内道明議員】
日常生活で使う物やサービスを災害時に役立てる「フェーズフリー」を広めるよう要請。防災対策部は、南海トラフ地震対策の計画にフェーズフリーの視点を盛り込む考えを示した。
【フェーズフリー】
山内議員 平常時と災害時の境目をフラットにし、日常生活で使う物を災害時に役立てるフェーズフリーの視点が重要。国も計画やプランにフェーズフリーの視点を取り入れている。県はどう進めるのか。
田中防災対策部長 伊賀庁舎のソーラーパネルや体育館の空調設備などを進めてきた。フェーズフリーの視点を踏まえた取り組みが広まるよう、来年度に策定する南海トラフ地震対策の計画にもフェーズフリーを取り入れる方向で検討する。
【副次籍】
山内議員 特別支援学校に通う児童生徒が地元の学校に副次的な籍を設けてつながりを深めることは重要。松阪市では既に全域の小中学校で導入し、四日市市でも全域で導入する。県内全域への導入を促進してほしい。
福永教育長 市町の教育委員会に副次的な籍の意義や進め方を紹介し、導入を働きかけている。県内では既に5市6町が導入し、来年度の導入に向けて取り組む市町もある。意義や効果を丁寧に粘り強く説明し、拡大に向けて取り組む。
学校の生理用品設置は 吉田 紋華議員(共産党)
【吉田紋華議員】
個室トイレに生理用品を設置するよう、県教委から依頼を受けた県立学校の現状を尋ねた。福永教育長はトイレに設置する個数など、各学校の対応に差があることを明らかにした。
【県立学校】
吉田議員 経済的な事情で生理用品を購入できなかったり、急に必要になった生徒を支援するため、県立学校は個室トイレに生理用品を配置しているが、保健室に置かれている学校もある。設置の現状は。
福永教育長 生理用品を必要以上に持ち帰る者がいるためトイレへの設置を少なくするなど、各学校の対応に差があることが分かってきた。7月に県立学校で実施する保健体育に関する実態調査の結果を踏まえ、問題点などを把握したい。
【生理用品】
吉田議員 生理用品をトイレに置かない市町は「助けを求める力を育てるため」「盗難されるから」と説明するが、生理用品の使用を想定していないことが推察される。ある種の不当な偏見だと思う。知事の考えは。
知事 さまざまな考え方はあると思うが、県庁のトイレでも生理用品を試行的に配布したいと考えている。仮に多くの人が持っていっても、金額的にどのようなものか、ということもある。優しい三重県人なら是とすることもあると思う。
万博県ブースの状況は 荊原 広樹議員(新政みえ)
【荊原広樹議員】
大阪・関西万博の関西パビリオンに設けた県ブースの現状を尋ねた。雇用経済部は開幕からの2カ月間で、想定の約2倍となる約19万8千人がブースを訪れたことを明らかにした。
【人材確保】
荊原議員 知事は5月にインドネシアを訪問した。目的の一つは人材の確保。労働人口の少ない日本は外国人労働者に頼らなければならない。多言語、多文化への対応でも受け入れは大切。訪問で得た成果は。
知事 インドネシアは勢いのある国。県内に保健医療人材を優先的に送り出すことを定めた覚書を保健省と締結できたことは非常に大きい。産業連携やインバウンド(訪日客)でも成果があった。今後は実行に移していきたい。
【万博】
荊原議員 大阪・関西万博を契機に、名張でもお金を落としてもらえるという強い期待がある。県が関西パビリオンに設けたブースは盛況。オオサンショウウオの模型などが人気。見えてきた課題と対応は。
松下雇用経済部長 県ブースの来場者は、10日までの59日間で19万8337人。1日平均では約3400人と、想定の2倍近くに上る。入場まで一時的に待機してもらう場合には、県への来訪を促す観光PRもしている。
米国による関税の影響は 山崎 博議員(自民党)
【山崎博議員】
米国による関税措置の影響が県内でも懸念されるとし、県の認識や対応を尋ねた。雇用経済部は聞き取り調査を実施した事業者の17%で、受注や資金繰りなどに影響が出ていることを明らかにした。
【関税措置】
山崎議員 トランプ関税が世界を大きく揺るがす中、産業に占める製造の割合が高い県内への影響が懸念される。県は4月に対策本部を立ち上げたが、事業者から相談は寄せられているのか。認識と対策は。
松下雇用経済部長 窓口への相談は一件だったが、聞き取り調査をした約300社の17%に影響が出ている。中小企業の融資制度に新たな融資枠を設ける補正予算を議会に提出している。継続的に影響を聞き取り、必要な対策を講じる。
【地域移行】
山崎議員 生徒の減少や働き方改革などで部活動の地域移行が進んでいるが、道のりは平たんではない。教員が休日に指導ができなくなれば、指導を希望する人にとっては教員への魅力が低下する懸念もある。
福永教育長 休日の指導を希望する教員が地域クラブに携われる基準を市町に示している。学校業務に支障がなく、自発的な意思であることなどが条件。県内の18市町が制度を整備し、81人の教員が地域クラブなどで指導している。
児童相談所の現状や課題は 中瀬古初美議員(新政みえ)
【中瀬古初美議員】
児童相談所の現状や課題を尋ねた。子ども・福祉部は、児相で勤務する児童福祉司の約8割が勤務経験五年未満と報告。OBを人材育成の専門員として配置したことを明らかにした。
【人財育成】
中瀬古議員 児相の現場は事案が重いことに加え、電話対応を含めた相談の増加などによって大変な状況。キャリアの浅い職員が多く、ベテランの負担が大きいと聞く。現状や課題、人財育成の方策は。
竹内子ども・福祉部長 短期間で児相の職員を増やしてきたため、経験年数の浅い職員が多い。昨年4月時点で勤務経験五年未満の児童福祉司が78%。研修機会の拡大などに加え、本年度はOBを人材育成専門員として北勢児相に配置した。
【負担軽減】
中瀬古議員 東京都江戸川区の児相が通話の音声をリアルタイムで文章にするシステムを導入した。岩手県は虐待相談の対応などをまとめた実務マニュアルを作成した。児相の負担軽減に向けた県の取り組みは。
竹内子ども・福祉部長 職員にタブレットを配布したり、業務支援システムを導入したりして効率化している。全国共通ダイヤルからつながる夜間と休日の相談対応は外部に委託している。他県の取り組みも踏まえて業務を改善したい。

伊勢新聞 2025-06-13 [Edit / 編集]

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