「博物館のニューフェイス」初公開 近江商人ゆかりの滋賀で企画展
「博物館のニューフェイス」。そんな名称の企画展が滋賀県東近江市五個荘竜田町の近江商人博物館で開かれている。過去約3年の間に商家などの市民から寄贈され、地元にゆかりのある美術品や資料ばかり。すべて初公開だという。
えりすぐりの111点を「里の景色がよみがえる古絵図」「近江商人を語るものたち」「地域の営みが見えるあれこれ」の三つのテーマに分け、展示している。
古絵図は幕末の1864年の「元治元年石塚村街道絵図」が見ものだ。江戸幕府が長州征伐で通行する中山道を調査させた絵図との記載があり、街道沿いの家並みや一里塚、屋敷の間取りまで細かく描かれている。
近江商人との関係が深い古文書や掛け軸、茶器などは、テーマ別で最も多い56点。東近江市を代表する商家の一つ、外村宇兵衛家に伝わる文書の一部も紹介され、商業活動や暮らしぶり、地域に果たした役割などが分かる。能登川駅前の商店主らが1908年に結成し、2023年に解散した聖徳太子の奉賛会「近江上宮会」寄贈の掛け軸「牧童牛ニ跨(またがる)之図」は童子が牛の背に乗る構図で、修行を通して悟りに至る禅の教えをモチーフに描かれたとみられる。
ユニークなのが「地域の営み」のテーマの中で展示されている扁額(へんがく)「麻布製造図」だ。1897年ごろ、織屋が京都の絵師に麻布製造の作業風景の写生を依頼し、一枚の絵にしたという。麻の刈り取りから糸染め、機織りなどの工程が写実的に表現され、近江商人が主力商品とした近江上布の製造技術を知ることができる。
博物館では今後、資料を詳しく調査し、研究する方針。上平千恵館長は「企画展の名称は初めてのお披露目という意味で『ニューフェイス』を盛り込みましたが、すべて磨けば輝きを放つお宝。地域の魅力を語る立役者になり得ると思います」と話す。
企画展は29日まで(月曜休館)。入館料は高校生以上300円、小中学生150円。問い合わせは近江商人博物館(0748・48・7101)。
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滋賀:朝日新聞デジタル 2025-06-18 [
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