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「西の岡山、東の綱島」かつて広がっていた桃畑 鶴見川周辺を歩く

 かつて桃栽培が盛んで、昭和初期には日本一の収穫量を誇り、「西の岡山、東の綱島」と一大産地に並び称された綱島(横浜市港北区)。今、その面影はほとんどないが、隣接する綱島駅(東急東横線)と新綱島駅(東急新横浜線)の2駅を起点に、桃畑が広がっていた風景に思いをはせながら、鶴見川周辺の散策に出かけよう。
 新綱島駅前に残る入り母屋造りの古民家、池谷家(いけのやけ)住宅(横浜市認定歴史的建造物)。横浜開港2年前の1857(安政4)年に建ち、江戸時代から16代続く旧家だ。保全活用のため改修工事中だが、広々とした居間の約50センチ角の太い大黒柱が存在感を示す。高層ビルが立ち、急テンポで開発が進む駅周辺エリアで、この一角だけは、まるでタイムスリップをしているよう。
ライトアップされた池谷桃園の桃の花。バックにそびえるのは新綱島駅前の高層マンション=横浜市有名果実店の棚を飾った「日月桃」 唯一残る桃栽培農家でもある。この地で生まれた「日月桃(じつげつとう)」は品評会で数々の賞を取り、銀座千疋屋や新宿高野など都内の果実店の棚を飾った。庭先の「日月桃」と刻まれた石碑が、生産の中心地だったことを伝えている。
 大綱橋のたもとに出て、鶴見川左岸を下流に進む。振り返るとまだ雪を頂いた富士山の雄姿も見えた。東海道新幹線の高架橋、樽綱橋をくぐってさらに下流へ向かうと、川辺の水路で野鳥が遊んでいた。「本来の自然環境に近づけようとこの冬、人工的に造った湿地帯。野鳥の憩いの場所になれば」と国交省京浜河川事務所の担当者。
 晩秋から春先にかけての鶴見川は、絶好の渡り鳥観察スポット。この日は、水路に立てた杭で羽を広げる渡り鳥オオバンの姿があった。
 日本野鳥の会神奈川支部によると、シベリアなどユーラシア大陸から越冬のためにヒドリガモやマガモ、コガモなどが次々と飛来し、春になると戻っていくのだという。
連載「私の散歩道」20年ぶりに復活した朝日新聞神奈川版の人気連載です。神奈川とっておきの散策ルートを記者が歩いて紹介します。
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神奈川:朝日新聞デジタル 2025-06-18 [Edit / 編集]

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