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みどりで人と街つなぐ 川崎で広がるmidori-baプロジェクト

 【神奈川】「みどり」を通じて人や地域とのつながりを生み出そうという試みが、川崎市で展開されている。昨年の市制100周年をきっかけにした官民共創型のプロジェクト。造園や野菜栽培などに取り組む団体でつくる「midori-ba(みどりば)」が担い手となり、各地でイベントを開いている。
 「あー、ミミズがいるよ」
 5月12日、幸区の民間施設で花壇に花を植える体験に、4組の母子が参加した。midori-baの代表で造園業を営む斎藤集平さん(37)らが企画した。
 参加者にある植物に触れてもらって、斎藤さんが問いかけた。「動物の毛みたいな感じがするけど、どんな動物かわかりますか」。ラムズイヤーという植物で、答えはヒツジの耳だという。
 5月31日には、高津区の橘公園で野草探しや野草のお茶を飲み比べるイベントが開かれた。
 企画したのは、生ごみ堆肥(たいひ)を使って無農薬で野菜を栽培するなどしている市民団体「野菜だいすきファーム」で、midori-baに加わっている。案内役を務めた「ガーデンティーチャー」の小久保孝志さん(42)も、midori-baの構成団体に所属する。
 親子や夫婦ら計9人が参加し、小雨の降るなか、公園内を歩きながら小久保さんから野草の説明を聞いた。会議室では、ヨモギやタンポポなどの野草茶を楽しんだ。ピンク色をしたビワ茶には、「きれい」「甘い」といった声があがった。
 midori-baは市制100周年記念事業のプロジェクトの一つ。「みどりでつながる新たなコミュニティー」を市内各地に増やしていこうと、昨年12月に設立された。
 都市部に多くいる「みどりに関心はあるものの関わる機会がない」人たちに、みどりと出合う場を提供し、そこで生まれた仲間とともに自分たちの住む街を少しずつ豊かにしていくことを目指す。
 公園など決まった拠点でのみどりを育てる体験や、街中の駐車場や駅前でみどりに触れられる機会をつくる活動が柱だ。設立前を含め、各団体がプロジェクトとして昨年度に実施したイベントは59回、総参加者数は約1万1千人に上るという。
 現在約10団体で構成。NPO法人化の手続きを進めている。このプロジェクトに関わりたい、応援したいという企業・団体や個人を募集している。
 市も今年3月までmidori-baのイベントに助成金を出し、いまもメンバーとの話し合いやイベントで公共施設を使用する場合の調整など「伴走支援」をしているという。
 斎藤さんは「私たちの合言葉は『こころとまちにみどりを』。人と人がつながり、自分たちでみどりを育ててみようという人が増えてくれることを夢見ている」と語る。

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神奈川:朝日新聞デジタル 2025-06-18 [Edit / 編集]

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