次のバスは3時間後 南足柄で楽しむ春の紅葉、咲き誇るシャガの花
出かける前日からやや緊張ぎみだった。行き先は南足柄市の矢倉岳に近い地域。
4月下旬の平日、JR小田原駅から伊豆箱根鉄道・大雄山線に乗り換え、終点「大雄山」(バス停は「関本」)から出る午前9時5分のバスを目指す。乗り遅れると3時間便がない。
電車の遅れや、慣れない乗り換えも考慮して、横浜市内の自宅を早めに出発。目的のバスに乗れたときは、ほっとひと息ついた。
「苅野」のバス停で降り、ゆるい上り勾配の道路を歩く。しばらく行くと左側に関東大震災復旧記念碑の「川入堰碑」が見えてくる。すぐそばの「矢倉沢下庭入口」の表示に従って、下の方に下りてみた。
整然と広がる茶畑 整然と茶畑が広がる里山の集落に、江戸時代が彷彿(ほうふつ)とする一角がある。「矢倉沢関所跡」だ。東海道の重要な「箱根関所」に伴い、脇関所として設置された。
通行人を取り締まり、周りは70間(約126メートル)を超える柵や竹垣、生け垣などの防護施設も備えていたという。現在は一般の住宅になっているが、門柱の礎石が残り、通行手形なども所蔵している。
関所周辺には旅籠(はたご)が立ち並び、旅人たちでたいそうにぎわったという。住宅を囲む立派な白壁はその名残で、今でも「江戸屋」「立花屋」などの屋号が各家に伝わっているそうだ。
次の目的地「もみじ山見晴らし台」までの道を尋ねようと、矢倉沢公民館の扉をたたいた。閉まっていて人の気配がない。駐車場にいた男性に尋ねると、ふだん人は常駐していないという。「見晴らし台なら、白山神社を目印にするといいですよ」と親切に教えてくれた。
20年ぶりに復活した朝日新聞神奈川版の人気連載「私の散歩道」。神奈川とっておきの散策ルートを記者が歩いて紹介します。
橋を渡り少し歩くと、今度は…
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神奈川:朝日新聞デジタル 2025-06-19 [
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