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メタバース 世界広げる学び 勇さんの発掘!おうみびと

 湖国を盛り上げる若きリーダーを紹介する「勇さんの発掘!おうみびと」。今回は、インターネット上に構築された3次元の仮想空間「メタバース」の特性を教育の分野に取り入れ新しい学びの場を創造するミカタKIDSフリースクール代表の伴野真教さん(48)です。
 ――メタバースを活用しようとしたきっかけは?
 元々、特別支援や病気の子どもたちの教育に従事していて、10年ほど前にオンラインで学校とつなぐインタラクティブ教育の研究をしていました。その後、新型コロナで一気にテレワークが進みオンラインが定着しメタバースが登場しました。メタバースでは自分の分身となるキャラクター「アバター」を使うので自分の顔を見せなくてもよく、車いすや病床にいる子でも走ったり、山を登ったり、海で泳いだりといった色んな活動ができる良さがあります。時代は必ず変わっていくので教育のあり方も変えていけるのでは、と思いました。
 ――不登校の子どもたちの居場所にも?
 今、年間でおよそ34万人以上の子どもが不登校と言われています。ずっと家にこもっている状況を何とかしたいという思いからメタバース上でのフリースクールの構想がスタートしました。世間ではまだまだ公教育を経て大学受験、就職という流れが一般的ですが、そこに合わない子どもは少なからずいて、自分のスキルを生かすと開花する子どもたちが自分の好きなことを認めてもらえるような場所が出来てもいいのかな、と思っています。
 ――滋賀から目指す新たな教育のカタチ?
 全国学力状況調査の中に幸福度調査があります。学力は高いが幸福度は低い。勉強する意味がわからない、意欲がない、といった結果が出ている自治体もたくさんあります。学びは基本的には好きが学びになると思っています。何のために学ぶのかということを公教育の中でしっかりと気づいてもらえるような投げかけをしないと、良い成績をとるためのやらされるだけの教育になってしまいます。豊かな自然と文化、人の温かさのある滋賀からそこをしっかり見ていかないと、と思っています。
 ――未来の教育にメタバーススクールが?
 メタバース、AIがどんどん発展する中、オンラインの世界はより様々な場所とつながりグローバルな教育が可能になると思います。地域内ですら交流の少ない現状において、学校、学年、教室という限られた枠内での人間関係だけではなく、色んな世界とつながることができれば、多様な国の文化や人、考え方、仕事など世界観を広げられるような仕組みがオンライン上でできるようになるのでは、と考えています。
 ――今後目指すこととは?
 「不登校ゼロ」です。私の理念に「魚を与えるのではなく魚の釣り方を教える」というのがあります。学校に行かないイコール、ダメ、という固定観念をなくし、学校に行かないけれども他の選択肢を選んでもよい、といった多様な考え方を広げていけたらいいですね。
 ばんの・まさのり 1976年守山市生まれ、在住。大学卒業後、2001年より県立草津養護学校で教諭として勤務。その後、野洲市内の小学校教諭、県立守山養護学校で教頭を務める。22年間の教員生活を経て、誰一人取り残されない教育を目指し24年にメタバースとAIを活用した次世代型フリースクール「ミカタKIDSフリースクール」を創業、代表理事に就任する。現在、モニター生を対象に開校し、今秋より本格的な学びの場として始動予定。

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滋賀:朝日新聞デジタル 2025-06-20 [Edit / 編集]

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