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ウェディングフォト中、海に若い女性 撮影待たせて迷わず走った

 島根県出雲市内の写真館で店長兼カメラマンを務める今岡祥子さん(35)とスタッフの土江雛里(ひより)さん(25)は4月22日午後、カップルのウェディングフォトの撮影で、国引き神話の舞台、同市大社町の稲佐の浜にいた。
 当日は曇り空で、やや風があったが、撮影に不向きなほどではなかった。まもなく、ファインダーをのぞく今岡さんに、土江さんが話しかけた。「大丈夫ですかね……」。土江さんは波打ち際から20メートルほど沖を指さす。そこには腰まで水につかった若い女性がいた。
 何かの撮影かな。でもカメラマンらしき人はいない。まだ肌寒い季節なのに女性は普段着のまま水につかっていて、明らかにおかしい。
 「大丈夫じゃないかも」。今岡さんはカメラを浜に置き、撮影を待たせるカップルに「すみません」と告げて迷わず走った。海は荒れてはいなかったが、風があった。波の抵抗を受けながら沖にいる女性に追いついた時には、胸の辺りまで水につかっていた。
 その間に土江さんが110番通報。今岡さんが浜辺に連れ戻した女性に、警察官が到着するまで寄り添った。
 2人は今月18日、島根県警出雲署で遠藤敦生署長から「現場は離岸流があって危ない場所で、毎年のように事故がある。勇気ある行動で、尊い人命を守っていただいた」と感謝状を贈られた。署によると、女性は当時、自殺を図ろうとしていたといい、現在は日常生活に戻っているという。
 今岡さんは11年間ほど福祉施設で働いた経験があり、衝動的な行動をする子どもらを「いつも追いかけていた」という。「冷静に対応できたとすれば、経験が生きたのかも」。土江さんは「女性がその後、どうしているのかと気がかりでした。元気にしていると聞いて安心しました」と話した。

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島根:朝日新聞デジタル 2025-06-23 [Edit / 編集]

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