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女性の分断、井戸端で解消へ 弁護士らが団体「誰もが生きやすく」

 女性間にある分断をなくしたい。その思いから「Salon(サロン)」という団体を昨秋、岡山大法科大学院時代の同期生とともに立ち上げて活動している倉敷市の石田麻衣弁護士(48)。
 きっかけは設立の約半年前、女性の福祉や人権の尊重などを規定した「困難な問題を抱える女性支援法」(女性支援新法)の施行だった。
 弁護士として、DV女性被害者の自立支援などに携わってきた。経済的余裕がなかった子育て、キャリアとの両立の苦労、学生時代の過食症。自身の経験も伝えながら、困難な状態にいる女性たちに寄り添ってきた。
 気付いたのは、女性同士に互いの理解を阻む分断があること。働く女性と専業主婦、子を持つ女性と持たない女性……。セックス産業に関わる女性に対する意識をひとつとっても「感覚的な拒絶感や差別的な感覚は、男性より強い気がする」。女性がもっと力を発揮できる社会を実現するために、「女性間の連帯がないと、ジェンダーギャップは飛び越えていけない」。
 サロンでは月1回、定例ミーティングを開いて女性を取り巻くトピックなどを話し合う。アイデアを出し合って知見を深め、共有する。メンバーは大学教員や助産師、起業家、医師、兼業主婦らと様々だ。各自が自らの職場などに持ち帰って、課題解決に向けて実践を試みる。
 活動で意識するのは、「井戸端」の距離感。かつて共同井戸に集まった女性たちは、顔をつきあわせて話すことで理解を深めた。互いに知り合って話し、共感する場をつくることで分断を解消していくという狙いがある。
 政策提言にもつなげ、社会への発信を目指す。年内に井戸がある場所を借りて「リアル井戸端会議」のようなフォーラムも検討している。
 活動が評価されて4月下旬、女性の地位や権利向上などに取り組む奉仕団体「国際ソロプチミストアメリカ日本西リジョン」から、女性を助ける活動をした人をたたえる「ルビー賞」が贈られた。
 分断をなくした先に見据える風景がある。「女性とか男性とか関係なく、誰もが生きやすい社会です」
     ◇
 倉敷市出身。早稲田大卒業後、東京で歯科医療コンサルタントやレストラン業といった民間企業を経て、岡山大法科大学院に入学。2013年に弁護士登録後、岡山市内の法律事務所を経て21年に「あち倉敷法律事務所」を開業。3人の子どもの母親。

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岡山:朝日新聞デジタル 2025-06-23 [Edit / 編集]

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