六ケ所村再処理工場、総事業費5300億円増え15兆6200億円に
昨年、完成時期を約2年半延期して2026年度末にするとされた青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場の総事業費が、5300億円増えて15兆6200億円に膨らむことが23日、明らかになった。日本原燃に再処理を委託する「使用済燃料再処理・廃炉推進機構」(青森市)が公表した。完成時期延期による施設の維持管理費や、新規制基準への対応のための追加対策費用などが増加の要因としている。
総事業費には工場の建設費や40年間の操業費、操業終了後の廃止にかかる費用が含まれる。建設費は昨年度の試算から3900億円増え、3兆7400億円となった。
同機構は、今年度から総事業費の試算に用いる経済指標を、これまでの単年から過去10年の平均に見直した。このため、操業後の廃止にかかる費用が700億円、返還廃棄物管理や廃棄物の輸送・処分にかかる費用が500億円減少した。見直しの理由は「再処理事業が長期にわたるため」としている。従来の単年の経済指標で試算した場合は、すべての項目で増加するという。
再処理で取り出したプルトニウムとウランから製造するMOX燃料の加工事業費は、1700億円増の2兆6千億円になった。
再処理にかかる費用は電力会社が使用済み核燃料の量に応じて負担し、電気料金に反映される。24年度の拠出金は、単価は23年度とほぼ同額で、原発が稼働している5社で計約1480億円となった。
再処理工場は1993年の着工以来、27回の完成延期を重ね、稼働のめどがたっていない。同機構の増田博武理事長は「日本原燃に対し、コスト管理のより一層の改善強化を継続して求める」とした。
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青森:朝日新聞デジタル 2025-06-24 [
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