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花火大会、北東北で中止相次ぐ 資金難に人手不足…山林火災の影響も

 夏の風物詩として多くの人を楽しませてきた花火大会だが、北東北で相次いで中止になっている。資金や人員の確保が難しくなったことが主な要因だが、火災のリスクを懸念したところもあった。関係者は今後の大会運営に頭を悩ませている。
 青森ねぶた祭の「前夜祭」として長く位置づけられてきた「浅虫温泉花火大会」の中止が6月3日、同温泉観光協会の公式ホームページで発表された。1947年に始まり、これまで74回にわたって開催されてきた歴史ある花火大会だが、資金難の壁に直面した。
 協会によると、昨年は約3500発が夜空を彩ったが、天候不良の影響で有料観覧席の売れ行きが落ち込んだという。これに加え、昨今の物価高騰で花火の値段も跳ね上がった。さらに警備にかかる費用もふくらむ見通しとなったことで「大幅な赤字が見込まれる」(担当者)として、やむなく中止を決めたという。
 協会の関係者は「みなさまの期待に応えるべく、なんとか続けたかった。検討を重ねた結果の苦渋の決断だった」と話す。関係者によると、花火大会が各地で開催されるようになったことで企業などからの協賛金が集まらず、観客も分散傾向にあることが打撃になったという。
 来年の開催については「今はなんとも言えないが、資金面で相当な打開策がない限り同じ規模で開催するのは難しい」と打ち明ける。
 資金難の影響は岩手でも同じだ。東日本大震災で大きな被害を受けた沿岸部の陸前高田市では、5月に開催予定だった「三陸花火大会」が中止された。震災発生から10年を前にした2020年10月、「三陸から元気を届けたい」との狙いでスタート。運営資金の大部分をチケット販売でまかないながら、春と秋の年2回開催してきた。
 大会を共催してきた陸前高田市によると、実行委員会の関係者は「運営に必要な資金や人員の確保が困難になった」と説明したという。中止決定が開催直前の4月下旬だったため、市はチケットの払い戻しに関する問い合わせへの対応に追われたという。今秋の開催について市は「実行委が決めるが現状では未定」(商工観光課)としている。
火災の発生に懸念も 花火産業が盛んな秋田では、資金難ではない理由で中止が決まった。大仙市で7月に行われる予定だった「協和七夕花火」は、コロナ禍での中止を除いてこれまでに40回以上行われ、地域で長く親しまれてきた催しだ。全国で唯一の女性花火師が腕前を競う「競技大会」も行われる。
 大会を主催する実行委によると、今春に岩手県大船渡市で起きた大規模な山林火災を受けて、花火の打ち上げ会場となる山あいの集落周辺の地権者などが火災の発生を懸念。大会開催の同意が得られなかったという。
 実行委は「来年の開催については、まだ決まっていない。打ち上げ場所を変更することも検討しながら考えていきたい」としている。

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青森:朝日新聞デジタル 2025-06-24 [Edit / 編集]

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