竹久夢二の浮世絵スクラップブック公開 「大正の歌麿」発想の源泉
大正ロマンを代表する画家で詩人の竹久夢二(1884~1934)が手作りしたスクラップブックが24日から岡山市中区の夢二郷土美術館で公開される。浮世絵が中心で、夢二の発想の源泉をたどれる。9月7日まで。
スクラップブックは縦52センチ、横40センチ。夢二の次男不二彦氏の遺族から寄贈された4冊のうちの1冊。布張りの表紙にくさかんむりの元になった「艸(そう)」が描かれている。夢二が落款に用い、自身の絵を「艸画」と称するなど大事にしていた言葉という。
浮世絵の版画や雑誌の切り抜きが176点と全204ページの大半を占める。印刷技術が進歩しても自作は木版画で制作し「大正の歌麿」とも呼ばれた夢二のこだわりがうかがえる。
テーマ別では美人画、風景画、役者絵の順に多い。作家別では歌川広重が32点と最も多く、喜多川歌麿が22点で続いた。歌麿の「青楼雪月花 玉屋内春日野」は、画家が存命中に刷られたオリジナルが国内では他に1点しか確認されていない珍品という。
色あせや破れがある絵もあり、夢二は鑑賞用ではなく作画のヒントを得るために集めたと見られる。広重の「名所江戸百景 両国花火」が貼られたページの余白には、夢二が青の表現をまねようと絵の具を塗った跡があり、花火の表現などは自作に採り入れた。歌麿が腰掛けた美人を描いた絵など、構図を自作の参考にしたものもある。
展示は、スクラップブックに収集された浮世絵を複製したパネル37点。浮世絵に影響を受けたと見られる夢二の作品と合わせて見られる。スクラップブックの収集全作品は縮小した写真で見られる。
大人800円、中高大学生400円、小学生300円。午前9時~午後5時(入館は4時半まで)。月曜休館(祝日は開館し翌日休館。8月5~17日は無休)。
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岡山:朝日新聞デジタル 2025-06-24 [
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