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2万語超を収録『島根方言集成』発刊 出雲の川上さん、通算74冊目

 NHK連続テレビ小説のタイトルにもなって有名になった「だんだん」(ありがとう)をはじめ、2万語を超える島根の方言を1冊に収めた「島根方言集成(出雲・石見・隠岐)―人間愛の言葉―」が刊行された。島根県出雲市の川上正夫さん(76)による足かけ18年の労作だ。
 川上さんはかつて出版社を営み、自身も山陰にまつわる書籍を執筆してきた。方言に関心を持つようになったきっかけは、経営していた出版社で2008年に手掛けた1冊の本。江戸中期に幕府の命で作られた松江藩の産物帳などを「原本に忠実に、かつ読みやすい形」で島根大教授がまとめたものだった。
 川上さんは「土地ごとに、消えることなく生きてきた言葉がある。方言は暮らしの言葉、言葉の民衆芸術」と、方言が失われないことを願って出版を企画した。
 過去には、島根の方言をまとめた辞典もあったが、川上さんが各地に残る方言集や市町村誌などを調べていくと、載っていない言葉も多く見つかったという。
 出版に向け、14年には下書き段階までたどり着いたが、資金不足などから編集を中断。刊行をあきらめかけたこともあったが、進捗(しんちょく)状況を尋ねる知人に励まされ、22年に編集作業を再開した。資金面ではクラウドファンディングも活用したという。
 今年完成した「島根方言集成」には見出し語として2万717語を50音順に収録。標準語から方言を逆引きできる索引も付けた。県内の公立図書館に献本するという。
 島根と縁の深い作家小泉八雲のひ孫で、小泉八雲記念館長の小泉凡さんは「自然を畏怖(いふ)し人や動植物を愛する島根の人々が、古来、語り継いだ言語芸術が満載で、川上さんが心血を注いだ労作」と評する。
 川上さんの元には、読者の声も届き始めた。「居間のテーブルに出しっぱなしで家族で見ています。父から出る出雲弁を『あった~』と大騒ぎの日々です」「後世に残る大きな仕事。思わず読みふけってしまいます」。そんな反応に元気が出る日々だという。
 四六判、946ページ、5800円(税込み)。問い合わせは発行元のワン・ライン(0853・25・8685)へ。

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島根:朝日新聞デジタル 2025-06-28 [Edit / 編集]

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