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中川一政美術館の改修見合わせ 真鶴町長が方針転換、再開見通せず

 神奈川県真鶴町の小林伸行町長は、大規模改修のため来年3月まで休館している町立中川一政美術館について、改修工事をいったん見合わせる方針を明らかにした。維持管理費用を減らそうと複数の民間事業者と話し合っているという。美術館の再開時期は見通せなくなった。
 6月23日にあった同美術館運営審議会や町議会総務経済常任委員会で、工事の見合わせを表明した。老朽化した消防設備などの改修費を今年度の当初予算に約2700万円計上しているが、この執行を止めるという。
 美術館を所管する町教育委員会によると、工事業者を選ぶ入札を8月に実施し、来年2月には工事を終える予定だった。この入札に小林町長が「待った」をかけているという。
 工事がなくなっても、すぐには開館できない。窓口などで働くスタッフの人件費が予算化されていないためだ。
 美術館運営審議会では、委員らが「議会で認められた予算を止めるのか」などとして改修工事の実施を迫ったが、小林町長とは平行線のままだったという。町議会でも「改修工事をしないなら何のために休館したのか」などと疑問の声が相次いだ。民間との協議内容を問われたが、町長は「まだ報告できる段階ではない」と答えなかった。
 小林町長は取材に対し、美術館の維持管理費を削減するため、複数の民間事業者に相談を持ちかけていると説明。隣接する「お林展望公園」などと一体的に運用する案もあり、方向性が定まるまで美術館の改修は見送ることにしたという。
 「状況が変われば予算執行の意思決定が変わるのは当然のこと。教育委員会に独立性はあるが、町長が委員会にガバナンスをきかせるのは最近の流れで、おかしなことではない」と語った。
 中川一政美術館は、文化勲章を受章した洋画家で、町内にアトリエを持っていた故・中川一政画伯の作品を収蔵、展示している。1989年の開館で、施設の老朽化や来館者の減少が課題となっていた。
 小林町長が今年度の予算案を発表した2月時点では、4月から1年かけて大規模改修を行うほか、画伯の遺族の了解を得て美術館の性格を一新。来年4月に「町立美術館」と名前を改め、多様な作家の企画展を開く場に衣替えすることになっていた。

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神奈川:朝日新聞デジタル 2025-06-29 [Edit / 編集]

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