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「ツツジの概念変わるだろう」 新品種を開発した島根大の小林教授

 年に2回開花し、それぞれ100日以上咲き続けるツツジの新品種を開発した島根大の研究グループのリーダーを務めるのが小林伸雄教授(57)だ。ツツジは通常1~2週間で花が散るが、「色の変化を長い間楽しみながら観賞できる。ツツジの概念や使い方が変わるだろう」。
 新潟県出身。幼い頃から花が好きで、野山に咲く花を、図鑑を参考に片っ端から調べた。ツツジの研究を始めたのは筑波大大学院時代。遺伝子解析で品種の起源をたどり、どの野生種同士が掛け合わさって生まれたのかを調べたり、自生地に調査に出かけたりした。
 ツツジの名所で知られる群馬県館林市の「つつじが岡公園」で古木の保護管理や新品種開発に携わった後、国際協力機構(JICA)の専門家としてアルゼンチンで自生する花の商品化につなげるプロジェクトにも参加した。
 2003年に島根大に赴任。再び新品種の開発に挑んだ。だが、ツツジは種を植えて花が咲くまで3~4年かかる。品種改良は息の長い作業だ。この間、野菜の新品種開発にも取り組んだ。山陰地方に自生するハマダイコンを品種改良した辛みが特徴の「出雲おろち大根」、アスパラ菜や松江特産の津田カブなどを掛け合わせたナバナの新品種を開発し、商品化につなげた。
 ツツジの新品種開発で着目したのが、園芸ブームが起きた江戸時代に生まれた、100日程度花が持続する「見染性(みそめしょう)」という特徴がある品種。遺伝子解析で、花弁の外側にある「がく」を形成する遺伝子が花弁にも作用することを突き止め、花弁が長持ちする原因を解明した。「遺伝子解析がなかった当時、長期間咲く品種を見い出した江戸時代の園芸文化のレベルは高かった」
 この品種と、春と秋に開花する「二季咲き」の品種などとの交配を重ね、年に2回、100日以上咲くツツジの開発に成功。現在、商品化に向けて、島根県内外の生産者が試験栽培に挑んでいる。
 「園芸化されたツツジは日本古来の花。桜などに比べると地味な存在で一つ一つの花は大きくないが、木全体を覆い尽くすように色とりどりに咲く姿には心を奪われる。ツツジの魅力をさらに広めたい」
     ◇
 〈年2回開花し100日以上咲き続けるツツジ〉 4月中旬から濃い赤色の花をつけ始め、5月下旬~6月に黄緑に変色し、7月には淡い赤色になる。10月には再び濃い赤色の花が咲き、同様の変色の過程をたどる。

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島根:朝日新聞デジタル 2025-06-30 [Edit / 編集]

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