参院選「自公で50議席割れの可能性も」 共同通信社政治部長の倉本氏講演、伊勢新聞政経懇話会
【伊勢新聞政経懇話会で講演する倉本共同通信社政治部長=津市新町のプラザ洞津で】
伊勢新聞社の政経懇話会6月定例会が30日、津市新町のプラザ洞津であり、共同通信社政治部長の倉本義孝氏が「政局展望―石破政権の命運と参院選情勢」と題して講演した。倉本氏は3日公示・20日投開票の参院選について、「自公で50議席を獲得できるかどうかが最大の焦点だ」と指摘し、物価高や裏金問題など厳しい世論を背景に「50議席割れの可能性も出てきている」と述べた。
石破政権の置かれた状況について、少数与党となり政権運営のかじ取りが難しい状態が続いていると指摘。加えて、米価が高騰する「令和のコメ問題」が勃発。「コメは政(まつりごと)と言われるように、日本にとって神経質な問題だ」とし、備蓄米が放出され、米価が下がりつつあるとはいえ、地域間格差があり依然収束していないとの見方を示した。
トランプ米大統領による関税問題も政権の重しとなっていると強調。石破首相の最側近の赤沢亮正経済再生担当相が交渉を重ねるものの進展はなく、高関税が課された場合は基幹産業の自動車産業だけでなく、中小企業を含め広範囲に影響が及ぶとした。
参院選については、自公が非改選75議席と合わせ、参院で過半数の125議席に到達するには今回の改選で50議席が必要だと指摘。「50議席を上回るか、下回るかで今後の政権運営が大きく変わる」との見方を示した。
特に、32ある一人区の情勢が命運を握ると強調。このうち、17選挙区が事実上の与野党一騎打ちの構図で、三重選挙区も含まれると指摘。「激戦が予想され、与野党幹部も注目している。混沌(こんとん)としているが、野党側が勢いづいている」との見通しを示した。
その上で「コメの問題や物価高、裏金問題など石破政権に厳しい状況は続いている」と述べ、50議席割れの可能性にも言及した。
参院選後については「自公政権が続くか、枠組みが変わるかだ」と予想。49議席以下なら過半数割れとなり、石破退陣論が出るとの見方を指摘。「50議席以上でも、不安定な状態が続く場合は政権の枠組みの見直しなども進む可能性がある」と話した。
倉本氏は新潟県生まれ。1993年共同通信社入社。大分支局、青森支局、新潟支局を経て2002年政治部。10年に防衛省防衛研究所一般過程へ社命留学、22年参院選班長、23年編集局センター整理部長、25年1月から現職。
伊勢新聞 2025-07-01 [
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