参院選鳥取・島根選挙区、5人の候補者の横顔を紹介
20日投開票の参院選鳥取・島根選挙区(改選数1)に立候補した5氏の横顔を届け出順に紹介する。
中山集氏(31) 国民新顔 政治の道に挑むきっかけは、3月に長男を授かったことだ。物価高、増えない賃金、政治家の裏金問題……。「この子の世代の未来はどうなるんだろう。私たち若い世代が未来を変えなきゃいけない」。妻にも背中を押され、国民民主党の候補者公募に応じた。
父親と、母方の祖母が島根県邑南町の出身。自らは広島市で生まれ育ったが、「石州瓦の赤い屋根、おいしい空気、人の温かさ。島根に来るたびに、『帰ってきたなあ』って思うんです」。
関西学院大を卒業後、ワーキングホリデーでドイツに1年間滞在。昼は日系の文具や食料品の販売会社に勤め、夜は日本食レストランで働いた。「社長に助言するドイツ人コンサルタントの姿に憧れて」。帰国後、コンサルティング会社に6年間勤め、昨年独立した。
国政をめざすと決意した後、手首につけるミサンガを購入した。「名古屋市の熱田神宮の勝守(かちまもり)です」。織田信長が桶狭間の戦いを前に戦勝を祈願し、天下取りに踏み出した地と伝わる。「日本を良くするための選択肢になりたい」
中山集氏=2025年6月2日午後2時56分、鳥取市内、富田祥広撮影出川桃子氏(47) 自民新顔=公明推薦 2月の自民党島根県連の予備選を勝ち抜いて立候補予定者となり、山陰両県の現場を歩いた。
「地域で懸命に生きている人たちが報われる社会を築かなければならない。その思いが一層揺るぎないものになった」
東京都出身。子どもの頃はけんかに負けたことがなく、「ひきょうなのが大嫌い。いじめっ子は年上だろうが男子だろうが、向かっていってやっつけちゃうような幼少期だった」。
高校時代は英国で過ごし、帰国して大学卒業後は国際見本市を主催する外資系企業などに勤務。2012年、夫の故郷・松江市に移住した。
2人の子どもを育てる中で、「この素晴らしい街をもっと良くして子どもたちに手渡したい」という思いから政治の世界へ。水の滴も絶えず落ちていれば岩に穴をあけるという意味の「涓滴(けんてき)岩を穿(うが)つ」が好きな言葉だ。
菓子作りが趣味。手本は料理教室を主宰していた母のレシピ。子どもの頃は帰宅するとおやつの甘い香りがした。「私自身が味わった幸せな気持ちを子どもたちにも伝えたい」
出川桃子氏=2025年6月9日午前10時49分、島根県庁、垣花昌弘撮影亀谷優子氏(39) 共産新顔 昨秋の衆院選島根2区に続く2度目の国政への挑戦。「有権者が今の政治を良しとしているわけではない、ということが分かった」と初挑戦の日々を振り返る。
兵庫県生まれ。父が転勤族で中四国を中心に転居を重ねた。高知大を卒業後、2008年に島根県大田市の牧場に就職し、9年間働いた。
20代後半で両親も党員の共産党に入党。「世の中を変えていく一員になりたい」と18年に大田市議選に立候補し、無投票で初当選。2期途中まで務めた。「政治には人の命がかかっている。政策一つで命が左右されるんだとここ数年よく思う」
自身の性格を「長所は明るいところ、短所は明るすぎるところ」と言う。衆院選では公示前日に髪を金色に染めて臨み、今もそのままだ。「(支持者の)受けは賛も否もある。頭皮が傷んでおります」と笑う。
男性3人のアイドルグループ「Number_i」の大ファンで、メンバーの平野紫耀さんが「推し」。昨年のツアーは衆院選で行けなかったが、今年こそはと楽しみにしている。
亀谷優子氏=2025年6月2日午前10時40分、島根県庁、垣花昌弘撮影倉井克幸氏(42) 参政新顔 栃木県育ち。高校時代の1年間のフランス留学を経て、筑波大在学中にシャンソンのコンクールで優勝。東京都内を中心にシャンソン歌手として活動した。「フランス語と栃木弁はイントネーションが似ているんです」と笑う。性格は「名前はくらいだが明るい」。ステージで鍛えたトークには自信がある。
子育ての環境を変えようと2023年、妻の祖父母の家がある島根県益田市へ移住した。昨年5月に染色体異常の難病を抱えていた13歳の娘を亡くし、今は妻と3人の幼子、義母の6人家族。
ウルトラマラソンにも出場し、自らを「歌うアイアンマン」と呼ぶ。青森―山口の往復3100キロを30日弱で縦断した記録を持つ。各地を走るうち、人口減少や少子高齢化といった地方の課題を実感。その危機感が国政挑戦を後押しした。
選挙中も走りながら活動するつもりで、千キロ走破が目標。「島根県の西端から永田町までのルートは千キロぐらい。『ロード・トゥー・永田町』という感じで走り抜いて、皆さんの声を永田町に届けたい」
倉井克幸氏=2025年6月12日午前10時21分、島根県庁、垣花昌弘撮影谷口直矢氏(47) 諸派新顔 「就職氷河期世代で、人生のレールにうまく乗れなかった」。大学を卒業後、20代後半でようやく職に就いた。だが、30歳過ぎに肺炎を患い、数カ月入院。体調が戻らず当時の勤務先を辞めた。「同じ世代の気持ちをくみ取ることはできるかなと思う」。そんな思いで初の国政選挙に挑む。
訴えの柱は、NHKを視聴する人だけが受信料を払うスクランブル化の実現だ。立花孝志党首の姿勢にひかれ、NHK党に入った。出身地の兵庫県姫路市に居住し、2年前の同市議選に立候補したが落選。今回の参院選は兵庫選挙区で立つ考えだったが、同区で立候補した立花氏から「隣の鳥取・島根にまわって」と言われた。公示後はSNSを中心に活動する。
古希をこえた母親と実家で2人暮らし。政治の世界に挑む自分に、母はいま、「好きなようにしなさい」と自然体で向き合ってくれる。
中学生で少林寺拳法を始め、高校で柔道、大学では総合格闘技に打ち込んだ。「ベンチプレスで150キロをあげられるようになりたい」。そんな夢もある。
谷口直矢氏=2025年6月3日午後4時47分、鳥取市の鳥取県庁、富田祥広撮影候補者の第一声の後、ガンバロー三唱をする支持者ら=2025年7月3日午前9時58分、松江市、垣花昌弘撮影
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島根:朝日新聞デジタル 2025-07-05 [
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