「最激戦区」から勝ち上がった理由 担当記者が見た高校野球岡山大会
岡山学芸館が連覇し、4回目の夏の甲子園出場を決めた第107回全国高校野球選手権岡山大会。おかやま山陽との決勝は、点を取り合うシーソーゲームの熱戦となった。岡山学芸館の大会での戦いぶりと、涙をのんで球場をあとにした各校の戦いぶりを振り返る。
岡山学芸館が入ったゾーンは、春の県大会と中国大会で準優勝した創志学園、昨夏準優勝の関西、昨夏4強の岡山理大付がひしめき合う「最激戦区」だった。勝ち上がったのは、エース左腕、青中の好投が大きい。
直球は最速140キロ程度だが、制球の良さと変化球との組み合わせによる巧みな投球術が光った。創志学園戦は三塁を踏ませず4安打完封。門馬敬治監督に「完敗」と言わしめた。
準決勝の相手は春の中国大会王者の倉敷商。岡山学芸館の佐藤貴博監督によると「間違いなく一番強い」。好機は少ないと悟り、走者を確実にバントで送った。ここで活躍したのが2年藤原。選球眼に優れ、粘っこい打撃が持ち味。2度の得点機でいずれも適時打を放った。青中は終盤、1点差に詰め寄られたが要所を締めて完投した。
決勝は先発の青中が捕まり途中降板。1死一、二塁から継投した吉井が好救援した。空振り三振、内野ゴロで切り抜けると、青中と長年バッテリーを組む佐藤滉が殊勲の2点三塁打で、連覇をたぐり寄せた。
準優勝したおかやま山陽。堤尚彦監督は今年のチームを「赤鰯(いわし)軍団」と自称した。プロからの注目選手はいないとして、チーム一丸となり束になって挑んだ。初戦を除く決勝までの4試合をいずれも13安打と打ちまくり。とりわけ主将・井川は打率が5割を超え、10打点と牽引(けんいん)した。
3回戦は、4時間半を超える延長十三回タイブレークの大熱戦を展開。決勝も一時は逆転し、2年ぶりの甲子園に近づいた。堤監督は「力のなかったチームがよく伸びた」と選手たちをねぎらった。
おかやま山陽とタイブレークまで戦った総社南は、エースの中曽が躍動。1回戦の完投に続き、12回3分の1を174球、一人で投げ抜いた。美作はノーシードながら初のベスト8入り。2回戦でシード校の岡山商大付に競り勝つと、就実を延長の末に下した。準々決勝で敗れたが「県北から初の甲子園へ」という目標は後輩に託された。
勝者ばかりではなく、どのチームにも光るものがあった。
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岡山大会で夏連覇を達成した岡山学芸館の選手や監督らが28日、岡山県庁や朝日新聞岡山総局を訪れ、優勝を報告した。
県庁では伊原木隆太知事が「レギュラーではない選手らを含め、みんなで勝ちに行く素晴らしさ、さわやかさを感じた。昨年以上の素晴らしい成績を期待しています。ぜひ優勝旗を」と激励。国近泰獅主将は「ベスト8以上を目指し、県代表としてしっかり戦ってきます」と誓った。
その後に訪問した朝日新聞岡山総局では、佐藤貴博監督が「一戦一戦テーマを設定して臨んだ。決勝は『5点を取ること』で、イメージ通りに勝つことができた」と振り返った。
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岡山:朝日新聞デジタル 2025-07-29 [
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