幕末、維新期に功績の津山藩医2人 ペリー来航などゆかりの史料展示
幕末、明治維新の激動期を生き抜いた津山藩医の箕作秋坪(みつくりしゅうへい)と久原洪哉(くはらこうさい)。文政8(1825)年に生まれた2人の生誕200年を記念する企画展が津山洋学資料館(岡山県津山市西新町)で開かれている。
幕末の浦賀(神奈川県)沖に現れた巨大な黒い蒸気軍艦が人々の度肝を抜いた。米海軍のペリー提督が率いる艦隊だった。津山藩が情報収集に起用し、現地に急派したのが藩士の箕作秋坪だった。秋坪は今の岡山県真庭市出身で、藩医だった箕作阮甫(げんぽ)の養子になっていた。幕府が欧州に派遣した使節の一員にもなり、外交交渉の一端を担う。明治期に開いた英学塾では後に首相になる平沼騏一郎や原敬らを育てた。
洪哉は現在の鏡野町出身。藩医の久原宗哲の養子として久原家を継いだ。世界で初めての全身麻酔による乳がん手術を行ったという華岡青洲の娘婿、華岡南洋に学び、藩主夫人の乳がん摘出手術を成功させた。
企画展で公開している2人に関する史料などは37点。ペリー提督の艦隊の様子を描いた「ペリー来航絵図」が目をひく。秋坪はペリー再来航時の艦隊の一隻、サラトガ号の大尉と接触して手に入れた紙巻きたばこのうち1本を報告用に添えている。
洪哉関連では、藩主夫人の乳がん摘出手術後に夫人からお礼として洪哉の妻に贈られた打ち掛けが華麗だ。津山藩松平家の葵(あおい)の紋が入り、波間に群れて飛ぶ鵜(う)が刺繡(ししゅう)されている。廃藩置県後はコレラ流行時に私財をなげうち、予防薬を貧しい人々に配ったという。
ほかにも秋坪刊行の書籍、久原家代々の歴史を示す文書、洪哉の伝記、外科医術絵巻物などが展示されている。
9月21日まで(月曜休館、祝日の場合は翌日休館)。入館料は一般300円、高校・大学生・65歳以上200円、中学生以下無料。問い合わせは、津山洋学資料館(0868・23・3324)。
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません
岡山:朝日新聞デジタル 2025-07-30 [
Edit / 編集]