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近代化尽くした箕作阮甫 幕末の洋学者、岡山県津山市がデジタル絵本

 江戸時代後期に対外交渉の一翼を担った津山藩医で洋学者の箕作阮甫(みつくりげんぽ)(1799~1863)。その生涯を描いたデジタル絵本「箕作阮甫の物語」が岡山県津山市公式YouTubeチャンネルで公開されている。市出身の人気声優、大塚芳忠(ほうちゅう)さんが語り部役で登場している。
 阮甫は藩医の三男として出生。地元に生家(国指定史跡)が残る。40代で幕府の外国文書翻訳を任された。医学や語学、地理学、兵法関係などの書物を翻訳し、日本の近代化に尽くす。
 明治維新へのきっかけになったペリー提督来航時には、オランダ語で書かれた、開国などを求めるフィルモア大統領の親書翻訳に従事した。阮甫は幕府の洋学研究や教育の「蕃書調所(ばんしょしらべしょ)」(東京大学の前身)の教授になり、日本初の大学教授とされている。
 デジタル絵本は、津山市などでつくる「津山まちじゅう博物館コンソーシアム」が制作した。声優や制作スタッフに津山市民が携わり、挿絵は河野美術館の河野枝三子館長ら、津山洋学資料館の小島徹館長が監修。ショート版、短縮版、全編版、晩年の活躍から思想までをたどる第1巻~第4巻の計7本あり、ネットサイト「津山まちじゅう博物館」(https://tsuyama-machijuu.jp)でも閲覧できる。
 大塚さんは語り部の藩主・松平斉民役として登場する。人気アニメ「鬼滅の刃」で主人公の竈門炭治郎の師匠役を務め、テレビ番組のナレーションやケビン・コスナーらの映画の吹き替えで知られる。デジタル絵本冒頭で、阮甫について「日本の未来を切り開く力となっていきました」とたたえた。市は小中学校の授業「つやま郷土学」の教材としても活用する。

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岡山:朝日新聞デジタル 2025-08-03 [Edit / 編集]

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