> 富山県

未来富山の野球で感じた、これからの高校野球とは、教育とは

 野球に特化した通信制高校、富山県出身者が1人という、県内ではこれまでにない特徴を持つチームが代表校になったことに対し、さまざまな意見が寄せられた。
 創部8年目、トップアスリート育成を目的にするだけに野球に費やせる時間は多い。
 ただ、県内の強豪校などと比べても練習環境が恵まれているかと言われれば、そうではない。
 近隣の公営球場を借りてバスで移動、運搬の都合でバッティングマシンが使えるのは室内練習場だけ。
 部員も23人で、角鴻太郎監督も加わり、全員でグラウンド整備をするなど、自分たちで環境を整えながら練習に励んでいた。大阪入り後、大会本部から割り当てられる練習場でも同じだった。
 県外選手が多数を占めることも議論の対象となった。富山代表である以上、地元出身者が少ないチームに違和感を持つ人がいることは不思議ではない。しかし、今大会の代表校の中にも地元出身者が一人もいないチームは複数ある。
 スポーツ界に限らず、自分の才能を伸ばし自己実現の環境を求めて、全国にその場を探す選手がいることは珍しくない。
 多様性の時代、富山にも様々な教育形態の学校ができつつある。未来富山の甲子園出場が、富山の高校野球だけでなく、学校や子どもの将来の選択肢のあり方を、あらためて考えるきっかけにもなってほしい。
 今大会、試合とともに注目されたのが、部内で発生した不祥事とその後の学校対応だ。未来富山も開幕直前に部員間の暴力行為が発表された。当事者間で和解したとして、県高野連への報告をしなかった責任教師が報告義務違反で3カ月の謹慎処分となった。
 暴力、いじめは断じて許されるものではない。選手の成長をどう見守るか、指導者や学校の苦労は想像に難くない。ただ、選手のためにも、これまで以上に細心の注意と目配りをしてほしい。
 甲子園出場決定後、応援態勢などに不安もあったが、魚津市や地元住民などの協力があり、すばらしいアルプス応援が実現した。一方で富山大会を含めて、もう少し学校本部側(愛媛県松山市の本校)の支援があれば、と感じたこともあった。

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

富山:朝日新聞デジタル 2025-08-16 [Edit / 編集]

削除Pass(任意、英数字4~12文字) [Confirm/確認]
No. 削除PassかIPアドレスのどちらかが合致すれば削除出来ます
削除Pass(任意)