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秋が来るとき 二面性持つ人生の複雑さ

まちのほとり座 自然豊かなフランス・ブルゴーニュで暮らす80歳の女性ミシェル。若き日に世間の偏見を受けながらも生き抜いた過去があり、それを受け入れられない娘との間に溝がある。
 冒頭で語られる「マグダラのマリア」の逸話――〝罪深い女〟と〝聖なる者〟がひとつの存在に宿るという構図は、ミシェルの人生とも重なる。物語には、一見美味(おい)しそうでも命を奪いかねないキノコが象徴的に登場し、その二面性を暗示する。善悪や正義は表裏一体で、その境界は人や状況によって変わる。正しさは一つではなく、時に噓(うそ)も方便になるということ。
 世話好きで〝良い人〟と思っていた相手の意外な一面に驚いた経験があるが、完璧じゃないからこそ人間なのだと悟らせてくれる――そんな人生の複雑さや深さを、監督は巧みな演出で映像に織り込み、観(み)る者の想像力を刺激する。(ほとり座 ジャンパー)
 ◆23~29日、監督フランソワ・オゾン、フランス、103分。
◇ほとり座(https://hotori.jp

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富山:朝日新聞デジタル 2025-08-17 [Edit / 編集]

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