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きっかけは「落書き事件」ケルン大聖堂に神奈川大が寄贈した彫像設置

 ドイツの著名な世界遺産「ケルン大聖堂」に、神奈川大学(横浜市)が贈った寄付金をもとに制作した彫像が設置された。きっかけは9年前、学生が起こした落書き事件を受け、大学側が謝罪に駆けつけたことだったという。
 ケルン大聖堂は、ドイツ西部のケルンにあるカトリックの大聖堂で、1248年に着工、1880年に完成した。ライン川のそばに高さ157メートルのゴシック様式の威容を誇り、1996年に世界遺産登録されている。
 昨秋、この大聖堂の外壁に設置されたのは、雨どいの機能を持つ、怪物をかたどった彫像「ガーゴイル」。重さ700キロで、第2次大戦で破損したものと交換されたという。
 原資となったのは、同大が寄付した1万ユーロ。2016年6月、同大の課外活動の一環でドイツを訪れていた学生が大聖堂に落書きをしていたことが発覚した。大学側はすぐに現地に職員を派遣して謝罪するとともに、大聖堂の修復への協力や再発防止のための学生への啓発を約束。大聖堂側も受け入れ、寄付を決めたという。
 その後も、大聖堂の歴史や文化的な背景を学ぶために、大聖堂の建築責任者を招いた講演を実施したり、現地の工科大学と協定を結んだりして交流を継続。今月には戸田龍介学長が現地に招かれ、彫像のお披露目を受けるとともに、レプリカを渡されたという。
 戸田学長は「始まりは決して良いものではなかったが、交流を継続してくださったことに感謝している」とあいさつ。「本学で学ぶ学生や留学生が、国や地域における歴史や文化の違いを理解し、それらに敬意を払えるような人として成長できるよう、大学として引き続き取り組んでまいりたい」と述べた。
 大聖堂は「謝罪から始まったことが、日本とドイツの文化の架け橋になった。ケルン大聖堂の歴史に素晴らしい貢献をしてくれた神奈川大学に感謝します」とのコメントを出した。

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神奈川:朝日新聞デジタル 2025-09-12 [Edit / 編集]

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