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押し寄せる観光客、住民は悲鳴 鎌倉の「聖地」で何が起きているのか

 アニメ・スラムダンクのファンの「聖地」といわれている神奈川県鎌倉市の踏切近くの住民が悲鳴をあげている。閑静な住宅街にインバウンド(訪日外国人客)らが押し寄せたことによる違法駐車、ごみ、排泄(はいせつ)物――。この夏、観光公害のフェーズ(局面)が変わったとして、市は本格的な対策に乗り出した。
 「ピクチャーはこっち」。海沿いのルートで鎌倉~藤沢を結ぶ江ノ島電鉄「鎌倉高校前駅」。
 13日、12人の市職員と中国語の通訳2人が、駅から出てきた外国人観光客らを、踏切近くの公園にある撮影エリアに誘導した。観光客はレトロな電車が通るタイミングで写真を撮影。公園内では市職員が観光客のごみも受け取った。ごみの量と種類をはかるためだ。
 鎌倉市は、写真を撮ろうと踏切そばの路上にあふれる外国人観光客を公園に誘導する実証実験を、この日から4日間の日程で始めた。公園のツツジを急きょ伐採し、全長26メートルでL字形の撮影エリアを造成。一度に20組前後が撮影できる。13日は1800人の観光客を誘導した。
 「スラムダンク」は不良少年が仲間とバスケットボールに打ち込み成長する姿を描いた人気漫画。テレビ版のオープニングで数秒、この踏切とみられる場所が登場する。2022年公開の映画は中国などアジア各地でヒットし、ファンの「聖地巡礼」に拍車がかかった。
 上海から旅行で来た中国人の女性(28)はスラムダンクのファン。中国でアニメを見ていたといい「踏切の写真が撮れてうれしい」。30代のベトナム人の女性は「SNSでよくあがっている踏切の映像は踏切のすぐ前で撮影したもの。ルールが厳しくて残念」と話した。
 実証実験を前にした今月6日、記者は現場を訪れた観光客109人に話を聞いた。国や地域の内訳は、中国69人▽台湾7人▽韓国6人▽豪州、日本5人▽マレーシア、フィリピン4人▽香港3人▽インドネシア、ドイツ2人と、アジアからの観光客が多かった。訪れた理由に84人がスラムダンクをあげた。
 セーラー服姿の中国人女性は「海があって、緑色の電車とのコントラストがきれい」。一方、ドイツ人の夫婦は「鎌倉は静かで美しい場所と聞いてきたけれど、もはや静かではないね」。
駅までの道、前に進めない 公衆トイレはなし ただ、観光客の中にはスラム…
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神奈川:朝日新聞デジタル 2025-09-15 [Edit / 編集]

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