日米学生会議に参加の芸観大4年・北原真悠さん、来年は実行委員長
社会の課題を他国の人たちと共有し、話し合いたい――。そんな思いから、芸術文化観光専門職大学(兵庫県豊岡市)の4年生北原真悠さん(21)は今夏、90年の歴史を持つ「日米学生会議」に参加した。
会議は、一般財団法人国際教育振興会が主催する。1931年の満州事変による日米関係の悪化を憂慮した日本の学生4人が提案し、34年に初めて青山学院(現青山学院大学)で開かれた。太平洋戦争などで中断しながらも続けられてきた。
キッシンジャー元米国務長官や宮沢喜一元首相らが輩出している。評論家の竹村健一氏や脳科学者の茂木健一郎氏も参加した。原則的に日米交互に開催し、会議の準備や運営は学生が担う。
第76回の今年は、日米合わせて約60人が参加した。8月3~24日、ロサンゼルス、ルイジアナ、ワシントンDCであり、約3週間、寝食を共にし意見を交わした。
北原さんは、集団討議や英語、日本語による個人面接、教養試験など2回の選考を経て選ばれた。北原さんは4~6歳、大学教授だった父の仕事でミシガン州で過ごした。この経験から、国籍や文化背景に縛られない友情を築くことの大切さを学んだという。
中学では自閉症児との混合教育、高校では国際教育プログラム「国際バカロレア(IB)」で学んだ。芸観大を選んだのは「演劇がすごく好きだったから。芸術を通じて人に感動を与えられるのではと。都心でしか生活してこなかったので、地方創生にも興味がありました」と話す。
交換留学先のソウルの大学校で「世界化時代の米国政治」という講義を履修し、他国の学生と共に私たちが抱える課題を討論する楽しさを知ったという。そんな時、日米学生会議の存在を知った。
会議では、七つある分科会のうち「社会起業家」に所属し、4月から始まった春合宿や事前勉強会、フィールドトリップに臨んだ。会議が始まってからは、企業として持続可能な利益を上げること、人々や環境に対する支援をどう両立させるか、などを議論した。
ただ、充実した時間とともに北原さんには後悔もあった。会議では戦争についても話題になった。日本への原爆投下について「米国の学生からは行為を正当化する議論が強く出ていた。ウクライナやガザ侵攻についても、話題には上がったが、議論として深まるところまでいかなかった」と振り返る。
北原さんは来年の会議にも参加する。リーダーとなる実行委員メンバーは今年の参加者から8人が選ばれ、北原さんが委員長に選ばれた。来年の第77回は7月31~8月21日、大阪、京都、熊本、東京の4都府県で開催される。「真剣勝負で意見を出し合い、議論を重ねる場を提供し、自分も議論の空間に参加できれば」と抱負を語る。
将来の職業などは決めていない。来春の卒業後は同志社大学の大学院に進学して、自身のいろいろな可能性を探るつもりだ。
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兵庫:朝日新聞デジタル 2024-12-10 [
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