阪神大震災翌日を撮った写真展 彦根の男性が26日まで展示
阪神・淡路大震災の避難所で見た光景が忘れられない――。あの日から30年、滋賀県彦根市の男性が撮った震災の写真展が、市内の「辻番所」で26日までの週末に開かれている。
辻番所とは、旧彦根藩の足軽屋敷群の辻(四つ角)にある見張り小屋を指す。この番所と一部の屋敷は、住民有志でつくる「彦根辻番所の会」が管理・運営する。
展示する写真約30点の多くは、会長の渡辺弘俊さん(87)が撮った。
神戸製鋼所勤務で神戸に10年住み、1969年に彦根へ移り住んだ。
95年1月17日早朝、妹の家族や元同僚らが被災した。妹のアパートは全壊。近所の人に助け出され、学校に身を寄せた。「大丈夫」と、昼過ぎに連絡がついた。渡辺さんは水と食料を持ち、電車で神戸をめざした。
建物や構造物が至る所で倒壊していた。初めて見る光景に「絶望的な気持ちだった」。妹のアパートは1階がなくなっていた。「よくぞ、助け出された」と実感した。
親戚が避難する高校へ行ったときのことだ。
体育館に布団が並んでいた。避難所だと思って入ると、異なる雰囲気に気おされた。犠牲になった人たちが安置され、家族が集まっていた。
写真に収める気にはなれなかった。今も忘れられない光景だ。
家族や知人らを見舞い、あの後10日くらい通った。災害を記録しておこうと、500枚は撮った。震災5年と10年、15年に写真展をしたが、30年のニュースに触れ、急きょ展示を決めた。
今も各地で災害が続く。被災者ではないが、「直後の被災地を撮った者として忘れてほしくない」と話す。「自分の命を守るため、どうしたら良いか。身の回りから考えることが大事だ」
写真は阪神高速道路や街の倒壊、避難所やその後の復興の様子などを伝える。他に、新潟県中越地震(2004年)、東日本大震災(11年)、熊本地震(16年)、能登半島地震(24年)と、明治時代に滋賀県北東部を震源とした姉川地震(1909年)の提供写真も展示する。
18、19、25、26の各日午前10時~午後4時、彦根市芹橋2丁目の辻番所(旧磯島家住宅)で。入場無料。
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滋賀:朝日新聞デジタル 2025-01-14 [
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