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ウツクシマツ 守り継ぐ絵本 まちづくり活動の大学生・岡さん執筆

 まちづくりの活動を通じて滋賀県湖南市の魅力を知った大学生が、平松地区のウツクシマツの自生地(国の天然記念物)を取り上げた絵本を執筆した。自生地のこれまでの「軌跡」や守り続けられてきた「奇跡」を、絵や豊富な情報で紹介。子どもから大人までが自生地を愛し、末永く守り継いでいくことを願っている。
 大学生は滋賀県彦根市出身の青山学院大教育人間科学部3年、岡さくらさん(21)。近江兄弟社高校(滋賀県近江八幡市)に通っていた当時から地域創生に興味があったといい、近江八幡の祭りを若い人に伝える活動に携わった。
 さらに知人から、若者たちが継続的にまちづくりに参加する「こなんSDGsカレッジ」を、湖南市が開催していることを知った。大学に入学して上京したばかりの2022年春、カレッジに応募。プロジェクトの実践活動などを経験し、修了した。
 23年度は修了生としてまちづくりにかかわり、その活動の中でウツクシマツの自生地に興味を持った。仲間とともにウツクシマツのことを調べた。
 ウツクシマツはアカマツの天然変種。根元の少し上から複数の幹が分かれ、傘のような形になる。群生地は日本で唯一で、1921年に国の天然記念物に指定された。いつから自生しているかは不明だが、江戸時代には観光名所として知られ、浮世絵にも描かれていた。
 しかし、1924年に450本あったウツクシマツは2021年には86本まで減少。下草刈りなど松の手入れがされなくなってきたことや、松枯れによる被害が要因だとわかった。
 絵本は「ウツクシマツのキセキ」。森で出会った小学3年生の平松コウくんと、樹齢約90年のウツクシマツじいちゃんの交流を描いた。
 ある日、森でじいちゃんに話しかけられたコウくん。毎日、じいちゃんに会いにいくようになる。だが、松食い虫にかかったじいちゃんはやがて倒れてしまう。その地面にはたくさんの松ぼっくりが落ちていた。コウくんはその種を育てて森に植え、25年後に1本の立派なウツクシマツが残ることになる。
 絵本は44ページ。物語のほか、ウツクシマツの歴史や減少の理由、保護活動の様子なども盛り込まれている。湖南市は昨年12月に150冊を発行。1月、市役所や図書館、各まちづくりセンター、各小学校などに配った。
 湖南市では小学3年生が総合学習でウツクシマツのことを学んでいる。岡さんは「せっかくの機会なので、読みたくなるように、できるだけかみ砕いてつくりました」と話している。

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滋賀:朝日新聞デジタル 2025-01-15 [Edit / 編集]

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