阪神・淡路大震災30年、ボランティア団体の元代表が大津で企画展
阪神・淡路大震災から17日で30年になる。ボランティアグループの代表として支援にたずさわった男性が、大津市内で当時の写真などを展示する企画展を開いている。記憶を風化させず、地震への備えを怠らないことこそが、生きている私たちの務め――。そんな思いがある。
元大津市職員の寺田智次さん(73)。都市計画部長などを務めた。30年前の震災のときは、住民自治課の係長だった。
「被災した赤ちゃんに粉ミルクやおむつを送ろう」。発災直後の女性職員の言葉をきっかけに、市職員を中心としたボランティアグループ「一滴(いってき)」をつくった。「一滴の善意がやがて大河になれば」という思いを込めた。
職員から募って、粉ミルクやおむつなどを購入。発災1週間後の1月24日に、ライトバン3台に載せて神戸市内に届けた。
その後も週末に被災地に入っては、カレーなどの炊き出しを行うなど支援を続けた。被災した子どもたちのために大津市内でキャンプをしたり、市内に神戸のサンバチームを招いてイベントを催したりした。神戸の物産販売も行った。
「人ごとじゃない、という思いで支援を続けていた」。寺田さんは当時を振り返る。1995年は「ボランティア元年」とも呼ばれる。「一滴」に参加する人も増えていき、「役立ちたいという善意にあふれていた」と言う。
「一滴」は96年3月でボランティア活動を終えた。同年5月には、活動の記録や大地震が発生したらどうなるかをつづった「花折(はなおれ)断層の動く日」を出版した。
これまで企画展は開いたことはなかったが、発災から30年のタイミングでは「やろう」と数年前から考えていた。昨夏から準備を始めたという。
企画展は、大津市本丸町の膳所市民センター2階の膳所歴史資料室で開かれている。
企画展には、寺田さんらが撮影した被災地やボランティア活動の写真、「一滴」の活動を伝えた「一滴新聞」などが並ぶ。地域の人たちに危機感をもってもらおうと、過去に膳所を襲った災害の史料も展示している。
寺田さんは「阪神・淡路大震災がどんな地震だったか思い起こし、危機感を持ち続ける機会にしてほしい。災害はいつ起きてもおかしくない」と話す。
企画展に掲げられたパネルには、こんなメッセージが記されている。「これを機に、あの日のことを是非ご自身も次代にお伝えください」
企画展は19日までの午前10時~午後4時。土日も開催する。入場無料。
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
今すぐ登録(初トクキャンペーン中)ログインする
【初トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくは
滋賀:朝日新聞デジタル 2025-01-16 [
Edit / 編集]