西村まさ彦さん 韓国の撮影現場 驚きの連続
北陸六味 映画撮影に参加するために韓国に行ってきた。3泊4日という短い期間だったが、それでも韓国映画の制作現場には驚くことばかりだった。
まず撮影スタジオだ。途方もなくデカい! ソウルから車で2時間半ほどの大田(テジョン)にある放送映像制作センター「スタジオキューブ」というスタジオで、かの有名なドラマ「イカゲーム」もここで撮影されたという。のべ面積3万2040平方メートル、地下1階地上2階建てのスタジオは、向こうの端が見えないほどに大きい。廊下も日本のスタジオの2倍以上はあろうかという広さ。
さらに驚いたのがケータリングの充実ぶり。日本映画は食に関してはあまりお金をかけていないイメージがあり、昼間はお弁当とお茶が提供されて終わりという現場も結構あるが、ここはスタジオの手前に肉、キムチ、野菜、スープ、ビビンバ、スンドゥブチゲなどおなじみの韓国料理が盛られた大皿がずらりと並んだ一角がある。食べたいものを自分で取り分けて食べるカフェテリア形式だが、食べても食べても一向に減らない。料理コーナー以外に、スイーツなどが並ぶスペースもある。でも、僕は日本で食べる韓国料理の味に慣れているので、たくさんは食べられなかった。
設備もゴージャス。メイク室ではほどよいクッションの大きな椅子に座って、大きな鏡を前にメイクをしてもらう。あまりに心地がよく、眠ってしまいそう。もちろん、カメラや照明などの撮影機器やクレーンなどの付帯設備も最新鋭のものが完備していてハリウッドなみ!らしい。
スタッフの労働環境も整備されていて、撮影は週5日で2日間は全休、1日の撮影時間もしっかり決められている。これは韓国が国を挙げて映画・映像産業を支援している結果だ。日本もようやく「映適(日本映画制作適正化機構)」がガイドラインで労働時間の制限を設けたが、それを実践している撮影現場はそれほど多くなく、いまだに真夜中を越えて撮影し翌日早朝から撮影という現場もある(らしい)。韓国のスタッフは皆若くて、はつらつと働いている。日本では劣悪な労働環境に耐えられず若いスタッフが映画業界を去っていくという現実がある。日韓スタッフの平均年齢のギャップは縮まりそうもない。
今回は韓国映画に日本人の役として参加したのだが、スタッフの作品にかける熱量は韓国も日本も変わらない。「頑張ろう!日本の映画業界」と思いながら韓国を後にした。(俳優)
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富山:朝日新聞デジタル 2025-01-15 [
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