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特殊詐欺、昨年千葉県内でも42億円被害 警察、検察かたる手口急増

 特殊詐欺の県内の被害総額が昨年、約42億円にのぼり、これまでで2番目の被害総額だった。件数は減ったものの1件あたりの被害額が増えた。背景にはインターネットバンクを使った手口の増加があるとみられ、県警は注意を呼びかけている。
 県警が6日に発表した2024年の特殊詐欺の認知件数は944件。前年より336件減り、過去5年で最も少なかった。だが被害総額は約41億9500万円で、前年より約12億2900万円増えて過去10年で最高に。04年の統計開始以降でも2番目の額になった。1千万円を超える被害も72件で前年の36件から倍増した。
 捜査4課によると、件数を押し下げたのが、還付金詐欺とキャッシュカードをだまし取る手口の大幅な減少で、減少分の7割を占める。同課特殊詐欺対策室の中田秀次室長は「銀行やコンビニなどでの水際対策が功を奏した」とした。
 にもかかわらず被害額が増えたのは、金を振り込ませる手段が、銀行窓口やATMを介したものからネットバンクに変わってきたためだ。昨年は77件(前年比65件増)で、総額約8億7300万円(同約6億4100万円増)と激増しており、「人を介さないため、犯人にとっては邪魔が入らない。振り込みの制限額も変えさせてどんどん入金させる」という。
 特殊詐欺以外にも、SNS型の投資詐欺やロマンス詐欺の被害も目立った。投資詐欺の認知件数は83件で被害総額は約18億200万円、ロマンス詐欺が65件で約9億9千万円と、特殊詐欺と比べ件数あたりの被害額が大きいのが特徴だ。
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 特殊詐欺の手口で目立つのは、警察官や検察官など捜査機関をかたり「あなたが犯罪に加担した容疑がある」などと告げるものだ。「口座を調べる必要がある」と誘導し、口座の金を丸々振り込ませるケースもある。昨年は118件(同約110件増)で、被害は約15億1100万円(同約13億8400万円増)だった。
 昨夏ごろから急激に増えており、逮捕をちらつかせて動揺を誘うほか、ビデオ通話で警察手帳を見せるなどして本物だと信用させるケースもあるという。
 実際、昨年最も被害額が多かったのは、松戸市の70代女性がこうした手口で2億5千万円をだまし取られた事件だった。警察官をかたる男から「あなた名義の携帯電話が購入され、不正に使われて被害届が出ている」と電話があり、指示に従ってネットバンクに複数の口座を開設させられていたという。
 中田室長は「警察が電話で逮捕すると伝えたり、口座から金を移してほしいと依頼したりすることは絶対にない。気をつけてほしい」と警鐘を鳴らす。
 県警は昨年4月、県外の警察から捜査協力を求められた際に対応する「特殊詐欺連合捜査班」を発足。7都府県で約500人が特殊詐欺の捜査に専従し、捜査の依頼を受けやすくするなど、体制強化を図ってきた。
 警察庁は先月、ゆうちょ銀行と協定を結び、詐欺に使われた可能性の高い口座情報をいち早く提供してもらう取り組みを始めた。県警も、地方銀行など県内の金融機関と同様の取り組みを進めていく考えだという。

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千葉:朝日新聞デジタル 2025-02-13 [Edit / 編集]

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