ベルばら作者も御用達、千葉の画材店閉店 多くの画家や漫画家育てる
千葉県柏市の画材店「いしど画材」が16日に閉店することになった。
千葉・東葛地域を足場にした画家や漫画家らを育ててきた。
惜しまれながら、58年の歴史にピリオドを打つ。
1967年1月、柏駅東口近くに開店した。
「近くに画材の店がない」との声を受け、現代表取締役の石戸新一郎さん(77)の一家が開業することを決めた。
石戸さんが大学生の時だった。
開店の準備をしていた母の急死を受け、姉とともに店を始めた。
今は人口約44万人の柏市が、11万人を超えたころだった。
画家たちに頼りにされた店だった。
ともに画家で、柏市に住んでいた早川義孝(1936~2012)や鎌ケ谷市の森本草介(1937~2015)から「新一郎君、ちょっと」と呼ばれ、「こういうの(画材)が欲しい」と注文され、全国を探しまわり、納品した。
「絵が描けない分、絵を勉強しました」
次代の作家を育てることにも熱心だった。
柏市に住んでいた画家で絵本作家の長縄えい子(1937~2023)を講師に、絵画教室を開いたこともある。
柏市に住んでいた漫画家池田理代子さん(77)には、代表作「ベルサイユのばら」(ベルばら)を発表した1972年当時、画材を納入していた。
県立柏高校出身で漫画家、イラストレーターの江口寿史さん(68)も同店で画材を購入した経験を月刊誌で明かしている。高校卒業後の77年に「すすめ‼パイレーツ」を世に送り出した。
ただ、店は近年、郊外型店の進出や、デジタル化など絵画、漫画づくりの環境の変化もあり売り上げが落ちていた。
石戸さんは「柏、東葛の美術界を一緒に作り上げてきたとの思いはあります」。閉店を広く知らせてはいないが、かつての客や従業員が再訪しているという。
地元商店街の理事長という顔も持ち、地域活性化のためのイベントを仕掛けてきた。
「死ぬまで街づくりに関わります」と話す。
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千葉:朝日新聞デジタル 2025-02-14 [
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