都会の親子が農村訪れ交流 ホタル舞う大自然で感動体験、住民ら企画
子育てを通じて都会と農村の交流を深めようと、神奈川県のダンスクラブに通う親子らが島根県津和野町を訪れ、山あいの暮らしを体験した。農村の親子らも歓迎し、互いに都会と地方のつながりを見つめ直していた。
企画したのは、津和野町木部地区出身で川崎市多摩区在住の藤井孝太さん(37)。自然豊かな農村を知らない都会の子育て世代と、過疎・高齢化が進む農村の人たちをつなごうと考え、木部川崎交流事業実行委員会をつくり準備を進めてきた。
藤井さんは、自身の子どもが通うダンスクラブで知り合った親たちに「山あいで暮らす優しい人たちと楽しい時間を過ごしませんか」と出身地への訪問を呼びかけたという。賛同した大人14人、子ども13人の計27人が5月31日、津和野町を訪れた。木部地区からは大人40人、子ども22人が参加し、共に田んぼや茶畑、竹細工の工房、石見神楽の練習を見学。地元産の米と野菜、イノシシ肉を使った料理も振る舞われた。
宿泊場所となった自治会館に向かう道中ではホタルが飛び交い、都会から来た子どもたちは「きれい」と歓声を上げて光を追いかけていた。子ども2人と参加した東京都調布市の田中麻梨子さん(42)は「関東から出たことがなく実家に帰るような体験をしたかったが、ふるさとができた感じがした」。長男の司さん(11)も「街灯がないことや家がポツンポツンとあるのを初めて見た。自然豊かで神楽は大感動」と話した。
都会の子どもたちは広々とした小学校のグラウンドを走り回り、保育園の砂場で泥遊びをした。道端に落ちている葉っぱを集め、かしわ餅づくりも体験。旧木部中学校体育館では交流イベントがあり、都会の親子らが華麗なダンスパフォーマンスを披露し、木部の親子らも一緒に踊った。
木部小学校の児童数は13人。40代の母親は「大人数で交流する機会はないのでありがたい」。坂根敏夫・木部地区自治会連絡協議会長は「田舎の良さが少しでも分かって、将来住むことになったらうれしい」と話した。
藤井さんは「都会の親は自然の中で体も心も解放された子どもを見て驚き、木部の親は都会の子どもとの交流が活力になると感じたと思う。こうした取り組みを今後も続けたい」。
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島根:朝日新聞デジタル 2025-07-19 [
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