参院選鳥取・島根選挙区 新顔5人の争いを自民の出川桃子氏が制す
参院選は20日、投開票された。5人の新顔が争った鳥取・島根選挙区(改選数1)は、自民の出川桃子氏(47)=公明推薦=が、国民、参政、共産の候補らを破り、初当選を果たした。全国的には自公政権に逆風が吹いたが、石破茂首相のおひざ元の山陰では自民が議席を死守した。当日有権者数は98万8714人、投票率は57.51%(前回52.99%)だった。
自民新顔の出川桃子氏(47)の当選確実が伝えられると、松江市のホテルに設けられた選挙報告会場は大きな歓声と拍手に包まれた。出川氏は集まった支援者らに「多くの皆様から託された思いをしっかりと胸に刻んで国政に臨みたい」と感謝の言葉を述べた。
報道陣のインタビューでは、物価高対策について「中小企業が大企業へ価格転嫁できる環境を国の責任でしっかり整備したい」。全国的に自民には厳しい選挙戦となったが、「先頭に立って政治への信頼を取り戻す。今まで政治の現場に届きにくかった若者や女性の声を届ける」と述べた。
選挙戦では東京一極集中の是正を訴えの中心に据え、東京の成長は地方から若年層が流入し、地方の衰退と引き換えに成立してきたと主張。「地方分散型の国づくり」を説いて支持を集めた。
当選を確実にし、花束を受け取る自民の出川桃子氏=2025年7月20日午後8時11分、松江市、垣花昌弘撮影 国民新顔の中山集氏(31)は、党が全国的に票を伸ばす追い風に乗り切れなかった。松江市の報告会場で支援者らに「私の力不足。みなさんの思いを果たせず申し訳ございません」と頭を下げた。
選挙戦では、党が掲げる賃上げと消費の好循環、山陰に関わるテーマとして農家の所得補償やガソリン暫定税率分の削減などを訴えた。
立候補表明が6月初旬と出遅れ、知名度不足を挽回(ばんかい)しようと、推薦した連合島根・鳥取や党幹部の応援を得て戦ったが、浸透しきれなかった。
敗戦のあいさつに立つ国民の中山集氏=2025年7月20日午後8時15分、松江市、中川史撮影 参政新顔の倉井克幸氏(42)は松江市の事務所で、「負けは負けとして受け止めたが、党は躍進しており、その流れを鳥取、島根にも持ってこられるよう草の根活動を続けたい」と支援者らに述べた。
選挙戦では、山陰両県で計4人いる党所属町議の支援を受け、減税と社会保険料削減など党の公約を訴えた。
選挙戦終盤、神谷宗幣代表が応援に駆け付けると、松江市と鳥取市の演説会場に数百人が詰めかける盛り上がりを見せたが、及ばなかった。
支援への感謝を述べる参政の倉井克幸氏=2025年7月20日午後8時35分、松江市、高田純一撮影 昨年10月の衆院選島根2区に続く国政挑戦となった共産新顔の亀谷優子氏(39)。松江市の事務所で「議席に結びつけることができませんでした」と敗戦の弁を述べた。
共産は全国32の1人区のうち17選挙区で立憲や無所属と候補を一本化したが、鳥取・島根選挙区では野党共闘は実現しなかった。
消費税率の5%への減税や島根原発の稼働停止を掲げ、コメ価格高騰を「自民党政治の責任」として農業予算の増額を訴えたが、政権批判の受け皿にはなれなかった。
敗戦の弁を述べる共産の亀谷優子氏=2025年7月20日午後8時36分、松江市、堀田浩一撮影 個人の得票に関係なく優先的に当選できる比例代表特定枠で、自民現職の舞立昇治氏(49)が3選を決めた。松江市での選挙報告会で「今まで以上に山陰の皆様方にご恩返しがしっかりできるようにしたい」と述べた。
報道陣の取材に対し、合区解消に努める考えを改めて示し、自民への逆風については「総理と同じ地元選出議員として石破政権をこれからも支えていきたい」とした。
舞立氏は2013年の鳥取選挙区で初当選。19年の鳥取・島根選挙区で再選を果たした。
バンザイ三唱をする自民の舞立昇治氏(中央)=2025年7月20日午後8時8分、松江市、垣花昌弘撮影
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島根:朝日新聞デジタル 2025-07-20 [
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