郷愁誘う小さな横須賀、地元にジオラマ館 新旧駅舎・観音埼灯台
神奈川県横須賀市内のJRや京急沿線の街並みなどの再現を試みた「ジオラマ館 小さな六つの物語」(同市佐野町)が8日、オープンした。さまざまな情景の一コマを切り取った小さな世界の作品群が、驚きや郷愁を誘う。
手がけたのは、鉄道模型店「アーク」を営むジオラマ作家の野中直樹さん(54)。同店横の2階建て民家を改修して開設した自身初の常設ギャラリーだ。展示品の多くは150分の1のスケールで、人の大きさも1センチほどの繊細なサイズで制作されている。
在来線の新旧の駅舎や、久里浜港、浦賀ドック、観音埼灯台など、鉄路や海辺の情景といった六つのテーマに分けて物語仕立てに約40点を配置した。かねて構造に関心があったというオランダの画家・ゴッホの「アルルの跳ね橋」も再現した。
野中さんは横浜市出身。2001年に現在の模型店のある場所で家電リサイクル店を開業した。その後、業態変更を模索する中、宇宙戦艦ヤマトなど幼少時からの模型好きが高じて「好きなことを飯の種にしよう」と、12年に鉄道模型店に衣替えした。
模型教室の生徒らからの要望に加え、コツコツと手がけてきた作品で店が手狭になったこともあり、縁あって隣の旧民家で常設展を開設する運びとなった。
立体感が目を引くジオラマの世界は、多角的な写真や地図、現場での歩測など丁寧な取材が土台となっている。外観から見ればだいたい分かるという建物の窓枠や天井の高さといったサイズも、30~40代に営んでいたリフォーム業の経験が生かされている。
平面の写真や絵と異なり、ジオラマは見る方向によって変化する。「作品を見た人が驚き、感動する様子が何よりうれしい。心のどこかにあるなつかしい風景と重なってくれれば」と話す。
開館時間は午前10時~午後5時半(毎週水曜休館)。入館料は平日440円、土日祝日は660円。問い合わせは「アーク」(046・850・5750)。
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神奈川:朝日新聞デジタル 2025-09-10 [
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