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鹿沼の南摩ダムで「試験湛水」開始 思川開発の中核 来年3月完成予定

試験湛水の開始を喜ぶ工事関係者。右奥が南摩ダムのコンクリート遮水壁=鹿沼市で




 栃木県鹿沼市上南摩町に建設中の南摩ダムで8日、ダム内に初めて水をためる「試験湛水(たんすい)」が始まった。下流域へ洪水被害軽減や水道用水の新規供給などが目的の思川開発事業の中核で、ダム本体は来年3月に完成予定。「コンクリート表面遮水壁型ロックフィルダム」(CFRD)という近代的工法を採用したダムでは国内最大という。(梅村武史)



 午前10時すぎ、仮排水路のゲートが閉鎖され、水没予定地への貯水が始まると現場で見守った工事関係者ら約100人が万歳三唱で祝った。事業主体である水資源機構思川開発建設所、長谷見智久所長は「工事は順調に進んでいる。きょうの日を迎えられ、うれしく思う」と話した。貯水の安全性や影響などを確認する試験湛水は2年程度続けられ、本格運用に切り替えられる。










下流側から見た南摩ダムの完成イメージ(思川開発建設所提供)




 CFRD工法は、山の形に岩石を積み上げて水をせき止め、水に触れる上流側をコンクリートで覆って遮水性を持たせる構造。堤高86・5メートル、堤頂長359メートル。総貯水容量は5100万立方メートルで東京ドーム41個分に相当する。



 瞬間最大で毎秒130立方メートルの水が流れ込んでも毎秒5立方メートルの放水量を維持する能力があり、思川や利根川の洪水被害の軽減に寄与する。また、下流の鹿沼市、小山市、茨城県、埼玉県、千葉県など最大60万人の水道用水を新規供給する計画という。



 同ダムを含む思川開発事業は、総事業費は2100億円で2026年度完成予定。思川支流の南摩川に南摩ダムを建設し、付近の黒川、大芦川とダムを地下トンネルで結び、水を融通する計画。1969年度に実施計画調査が始まり、水没予定地の住民80世帯約300人の集団移転が2002年から6年かけて行われた。その後、旧民主党政権下での事業一時凍結などを経て16年に継続が決まった。

栃木:東京新聞 TOKYO Web 2024-11-09 [Edit / 編集]

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