宇都宮市長選 候補者の公約 賛否割れるLRT延伸 さらに効果/市民に問う/バス強化
利用者数を順調に伸ばすLRT「ライトライン」=芳賀町で
宇都宮市長選(17日投開票)の大きな争点の一つが次世代型路面電車(LRT)「ライトライン」の宇都宮駅西側延伸計画だ。いずれも無所属で立候補している現新4人の候補者は、計画を巡って対照的な公約を掲げながら支持拡大を訴えている。(武藤康弘)
各候補者が公約などを伝える選挙ポスター=宇都宮市で
市は運行会社「宇都宮ライトレール」の筆頭株主(出資比率40・8%)。現職の佐藤栄一さん(63)は4期目の2018年に着工を、5期目の23年に開業を旗振り役として見届けてきた。4候補者による公開討論会(10月下旬)では「沿線人口は8%増えた。西へ延伸されれば、東側の比ではない効果が生まれる」と言明。選挙ポスターには駅西口周辺再整備後の完成予想図を載せ、「西側LRT2030年開通」と踏み込んだ。「ライトラインと東武宇都宮駅との効果的な連携」も公約に含めた。
これに対し、新人の荒木大樹さん(53)は「延伸に反対」とした上で、「住民投票を実施して市民の意向を問う」と語る。目指すのはLRTに代わるバス高速輸送システム(BRT)導入で、「宇都宮環状線にも走らせたい」とする。延伸費用の削減分を教育などの市民サービスに充てることも公約に含めた。
新人の上田憲一さん(87)は、10年以上にわたってLRT反対を主張してきた。現路線が計画段階だった14年に「LRTに反対し公共交通を考える会」を発足させ、市への要望書などを通じて白紙撤回を要求してきた。現状について「市東部では渋滞が拡散し、路線バスとの乗り換えが不便になった」と指摘し、「路線バスと地域内交通の連携で、『日本一のバスの街』を目指したい」とバス強化の姿勢を強める。
新人の毛塚幹人さん(33)は候補者で唯一、選挙ポスターに「LRT」の3文字を載せなかった。延伸賛成の立場だが、「沿線以外は不便との声を聞く。地域内交通の予算を格段に増やし、LRTや路線バスとの接続の改善や駐車場・駐輪場の充実を目指す」とし、現職との差別化を図っている。
栃木:東京新聞 TOKYO Web 2024-11-13 [
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